• 中央大学で学びたい方
  • 在学生の方
  • 保護者の方
  • 卒業生の方
  • 一般・地域の方
  • 企業・研究者の方

文部科学省:私立大学研究ブランディング事業
事業目的

今日、経済のグローバル化加速に伴い、その法基盤確立が重要となっている。しかし、従来型法秩序は国家法によって構成されており、グローバルな事象に対応するには構造的な限界がある。そこでビジネス法の領域を中心に、各論的な対応が広まっているが、そこには既存の法システムのいずれかに優越性を認め、法文化の多様性を否認する傾向が認められる(例えば、経済産業省『2013年版不公正貿易報告書』479頁「参考・競争法の過度な域外適用について」は、「『輸出者利益』に基づき相手国の国内市場の在り方に対して、反トラスト法の域外適用を行おうとする米国の政策は、国際法上許容される範囲を超えるものである。」と指摘する)。とりわけ、アジア太平洋地域は、世界最大の経済発展セクターながら、異なる法文化伝統が重層的に認められる地域であり、かつ、政治的不安定要因も多い。そこで一方では、米国法域外適用のように、支配的経済力をもつ、いわゆる「大国」法制度の介入を認め、これに従う国々が短期的な経済利益を得るというアプローチが用いられることも多い。

しかし、このアプローチは、法文化的差異を背景とする混乱を助長し、結果として、域内、ひいては世界の法的秩序を破綻させるリスクをも内包しており、他の方法が模索されている。可視的課題としては、イスラム法やシク教義に基づく装束の公の場での許容性、独占禁止法の域外適用、個別契約の準拠法と管轄裁判所・仲裁システム選択のあり方等が挙げられるだけでなく、近代市民法的な法主体や権利義務概念自体が、実は、基底文化レベルで理解されていないといった不可視的な問題も横たわっている。そこでこの地域における法秩序について、その多様性自体を解明し、多様性の存在を前提として、いずれかの法秩序を優越的なものとして「押しつける」のではなく、また逆に各国国内法による多文化・他法システムを無視した孤立主義的アプローチをとるのでもなく、多様性を協調的に併存させ、統合止揚(コンバージェンス)する方法を研究し、実務に反映せしめることが喫緊の課題である。たとえば宗教婚と世俗婚の併存、主権国家の裁判所から国際商事仲裁による紛争解決への移行等は、本研究の視点からすると、正にコンバージェンスの一つの方法であるが、これまでは分野ごとに各論的に研究がなされてきたために、グローバル社会全体を視野に入れて、課題と対応策を鳥瞰すること自体が困難となっている(例えば、シンガポール最高裁メノン長官の2016年1月27日のスピーチ"Doing Business Across Asia: Legal Convergence in an Asian Century"(http://www.supremecourt.gov.sg/news/speeches)の指摘参照)。

そこで本研究では、実定法のみならず、その背後あるいは前提にある、宗教、文化、言語、政治体制、経済力、新しい科学技術等の条件を含め、この地域の有力な研究者と連携した国際共同研究として、3つの方向から研究を進める。第1は、法秩序の多様性を調査・解明する研究である。これは、各国の研究者の連携を核として行う。第2は、それを可視的に比較検討する基盤としての「比較法事情データベース」の構築である。第3は、両者を前提として、コンバージェンスの方策そのものを研究する。これら3つの研究によって、アジア太平洋地域における協調的で安定した法の支配、換言すれば、国境を越えた法交渉において、各国・法域の多様な法秩序や法文化が根底から傷つけられることなく、全当事者が利益を得る方策を見いだしうる基盤形成を行うことが本研究の目的である。なお本研究は、上記のように3つの側面を含むが、法は社会の全局面に関わることから、法の多様性を具体的に検討するためには、総論的検討に加えて、先行的に検討を行う各論的領域を設定し、その成果を他の各論的領域に広げることが適切であると思われる。そこで、本研究では、現在実務的なニーズが極めて高い次の3つ、(a)国際契約(国際取引)、(b)データプライバシー、(c)紛争解決の各論的領域を検討するものとする。また、世界2大法系たる欧州大陸法とイギリス法が継受され、伝統的文化と交錯しているところにアジア太平洋地域の法多様性の特徴があることから、大陸法系の日本、大韓民国及びタイ、イギリス法系の香港、オーストラリア及びシンガポールを対象法域とする。

本学は、英吉利法律学校として創立されて以来、法学研究に長い伝統と歴史を持ち、建学の精神「實地應用ノ素ヲ養フ」に示される、抽象的体系性よりも具体的実証性を重視する実学の精神に基づき、既に法学研究を進めるだけの強固な知識と基盤を有する。また現在本学は、6学部、8大学院研究科、3専門職大学院及び9研究所に加え、産学官連携を本務とする研究開発機構、研究推進支援部門である研究推進支援本部及びこれを支える研究支援室によって、活発な研究が展開されており、それらに対する研究支援にかかる体制整備がなされている。これにより、本研究課題については、研究段階から成果の社会的活用に至るまで、広く上記協力体制を活用して実施することが可能である。

お問い合わせ

研究支援室(理工学研究所・研究開発機構・研究推進支援本部)(後楽園キャンパス)

〒112-8551
東京都文京区春日1-13-27


03-3817-1600


  • お問い合わせはこちら

研究支援室多摩研究支援課(研究推進支援本部)(多摩キャンパス)
〒192-0393
東京都八王子市東中野742-1

042-674-2109


  • お問い合わせはこちら
  • facebook(中央大学研究推進支援本部)
  • 学びの回廊
  • HAKUMON Chuo