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「戦後72年目の卒業証書」-2月27日台湾にて授与-

2017年02月27日

 2月27日午前、台湾において、中央大学のOBである、梁敬宣さん(91)に対し、特別卒業証書の授与が行われました。台北から約2時間離れた台湾・宜蘭在住の梁さん宅へ、中央大学総長・学長の酒井正三郎が直接出向き、特別卒業証書を手渡しました。

 梁さんは、中央大学予科第一部(経済)に在学中に、学徒勤労動員で駆り出され、都内の軍需工場に勤務。途中、特攻隊を志願して特別操縦見習士官の試験を受験しました。軍需工場では高射砲の信管製造を担当。高木丈太郎・元三菱地所会長と同じ班で作業していました。終戦と同時に、梁さんは「戦勝国人」と認定され、そのまま台湾に帰郷しました。

 中央大学では、第二次世界大戦によって学業を中断せざるを得なかったOBに対し、特別卒業証書の授与を行っています(1998年韓国、1999年台湾)。梁さんについては、最近になって授与対象者であることが判明し、この日の特別卒業証書授与となりました。

■ 梁 敬宣(りょう けいせん)さん 経歴

大正14(1925)年...3月28日、台湾桃園県平鎮市に生まれる。
昭和11(1936)年...4月、世田谷中学(現在の東京都・私立「世田谷学園」)に留学。
昭和19(1944)年...4月、中央大学予科第一部(経済)に入学。
                                     学徒勤労動員、特別操縦見習士官を受験。
昭和20(1945)年...8月、終戦。
昭和21(1946)年...「戦勝国人」の認定を受け、台湾に帰郷。

 

*参考:「戦争の記憶をつなぐ 十三の物語」 松野 良一 中央大学出版部発行

 総長・学長の酒井は、28日午後に行われる台湾二二八事件の慰霊式典に合わせて台湾を訪問しており、これに合わせて、特別卒業証書授与を行ったものです。なお、同式典において総長・学長は、受難した中央大学OBに対して追悼の辞を述べる予定です。台湾からの日本留学生で受難した方は100人以上を数え、うち1割を超える10数人が中央大学OBでした。二二八事件から、ちょうど70周年を迎えることもあり、今回の式典に総長・学長をはじめ中央大学関係者約10人が参加し、受難者を慰霊することにしました。