卒業生
インタビュー

潮見坂綜合法律事務所

河西 一実さん

2006年 法学部法律学科卒業
私立中央大学高等学校出身

今後の弁護士に求められるのは、


「人の想いを掴む力」と「発信力」

経営や従業員の人生を左右する
企業法務の弁護士

私は企業法務を扱う弁護士として、企業間訴訟、事業再生・倒産手続などに携わっています。
例えば企業間訴訟では、関係する契約書やメールなどを調べ上げ、クライアントに有利になるよう事実と証拠を積み上げていきます。
弁護士の主張によって裁判所の判断は大きく変わり、企業経営に大きな影響をおよぼします。また、経営が悪化した企業に対する事業再生・倒産手続は、そこで働く従業員一人ひとりの人生を左右するものです。
そうした状況で、経営者らと、倒産が本当にベストな選択なのか、なんとか企業を存続させる方法はないのかを探り、従業員の雇用を守れたときには、大きな達成感を感じます。

同じ目標を持つ仲間と
切磋琢磨できる環境で学び続ける姿勢を培った

大学時代を振り返ると、学びの環境に恵まれていたと思います。当時は郁法会(いくほうかい)研究室や法職多摩研究室で毎日8時間以上勉強していましたが、勉強仲間の真剣な横顔を見ると、「負けていられない」とスイッチが入り、集中力が高まりました。
司法試験の論文対策では、仲間と答案を書き議論したのをよく覚えています。周囲に仲間たちがいたおかげで意欲的に取り組むことができたのだと思います。
学部卒業後は、中央大学法科大学院に進学。大学院は、学部の頃よりもさらに明確に弁護士を目指している仲間が多く、彼らと濃密で実践的な議論ができたことは、貴重な財産になっています。
IT業界などと比べ、法曹界は変化が少ない業界だと思われるかもしれませんが、法改正や新しい裁判例に対応するため常に知識のアップデートが必要で、そのためには地道に学び続けるしかありません。だからこそ、コツコツと学び続ける姿勢を学生時代に培うことは重要だと思います。

法曹界もAI時代へ
弁護士に求められる能力が変わる

近年は弁護士の仕事にもAIが使われるようになりはじめ、文献や判例の検索、契約書の作成などにAIが活用される気配があり、今後、近いうちに今は弁護士が行っている業務の中にはAIが代替するものも出てくると思います。
とはいえ、依頼者が本当に求めている “想い” は本人にもわからないことが多く、そのような “想い” は人間である弁護士にしか形にできないと思います。また、裁判で判決を下すのは “人である裁判官” ですので、やはり人である弁護士が人にわかるように説得する必要があり、決してAIに代替されることはないと思います。
加えて個人でも簡単に情報を発信できる現在にあっては「できること・得意なこと」を、潜在的な依頼者に届ける「発信力」の重要性が高まると考えています。今の時代、自分のセールスポイントを的確に発信していかなければ、依頼者を獲得するのは難しくなるでしょう。受け身になりがちな弁護士が多い中で、適切な「発信力」を備えることは大きなアドバンテージになるはずです。

法学部には幅広い分野で役立つ
普遍的な実学がある

法学部で学ぶ「多義的な文言や考えを、自己が導きたい結論に向けて他人に説得的に伝える」という “法律的な考え方” は、法曹界だけでなく幅広い分野で役立つ能力です。
弁護士を目指す人はもちろんですが、そうでない人でも、優れたビジネスマンなら修得必須の実学が学べるのです。 どんな道に進むことになっても、中央大学の法学部なら、自分を成長させてくれる学びがあると確信しています。