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廃棄物の行方と地盤工学
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| 鉄鉱石※ | 石炭※※ | 銅鉱石※※※ | ボーキサイト※ | 原油※※ | 天然ガス(LNG)※ |
| 1億3500万トン | 1億6300万トン | 125万トン | 2010万トン | 2億5500万キロリットル | 5781万トン |
出典:国際協力銀行2005年度活動実績、site:www.jbic.go.jp JBIC
鉄鉱石、銅鉱石、ボーキサイトのすべては輸入であり、僅かに石炭135万トン、原油86万キロリットル等が日本国内において生産されているに過ぎない。その他、外国から輸入される木材、食料等々に加え、国内を起源とする各種資源と合わせた天然資源等投入量は、2003年度実績で17億5500万トンに及ぶ。この天然資源等投入量に廃棄物の循環利用量2億2300万トンを加えた我が国の総物質投入量は、図1に示すように19億7800万トンもの莫大な量に達する。
実はこれ以外に、『隠れたフロー』を考慮する必要がある。つまり、資源採取に伴って直接使用される資源以外に、質的に劣った不用鉱物あるいは剥ぎ取った表土・捨石は廃棄物として排出される。『国内の隠れたフロー量』と『国外の隠れたフロー量』の詳細は表-2のごとくになり、合計すると36億トン近くに上る。結局、わが国の経済は56億トン近くもの物質の上に成り立っていることになる。
また、図1より投入した物質は加工・製品化され、およそ総物質投入量の半分に相当する9.34億トンが様々な形となって国内に蓄積される。また、4.23億トンがエネルギー、食糧として1.21億トンが消費され、製品の形で1.41億トンが輸出に振り向けられる。しかし、総物質投入量の約30%に当たる5.82億トンが廃棄物として排出される。

出典:平成19年版環境統計集、環境省総合環境政策局/編、p.6
図1 我が国の物質フロー(2003年度)
表-2 隠れたフローの内訳
| 隠れたフロー | 国内の隠れたフロー量 | 捨石・不用鉱物 | 0.35億トン |
| 建設工事に伴う掘削量 | 6.13億トン | ||
| 土壌浸食量 | 0.07億トン | ||
| 国外の隠れたフロー量 | 捨石・不用鉱物 | 27.30億トン | |
| 土壌浸食量 | 1.43億トン | ||
| 間接伐採量 | 0.57億トン | ||
| 肉生産時の飼料投入量 | 0.11億トン | ||
| 合計 | 35.96億トン | ||
出典:平成19年版環境統計集、環境省総合環境政策局/編、p.116
3.廃棄物の処理・処分と有効利用
「廃棄物の処理及び清掃に関する法律」(廃棄物処理法)では、廃棄物とは、自ら利用したり、他人に有償で譲り渡すことの出来ないために不要になったものであって、ごみ、粗大ごみ、燃え殻、汚泥、ふん尿などの汚物又は不要物と定義する。廃棄物は、事業活動に伴って生じる産業廃棄物と家庭・事業系事務所から排出される一般廃棄物とに区分される。表-3は、最近5カ年間における産業廃棄物ならびに一般廃棄物の排出量の経年変化である。
産業廃棄物排出量は、ほぼ横ばいで4億トンが目安となっている。2000年以降減少傾向を示し、2002年に4億トンを下回ったものの、その後若干増加する傾向が認められる。
表-3 最近5ヶ年間における廃棄物の排出量
| 2000年 | 2001年 | 2002年 | 2003年 | 2004年 | |
| 産業廃棄物の排出量(万トン)※ | 40,600 | 40,000 | 39,300 | 41,200 | 41,700 |
| 一般廃棄物の排出量(万トン)※※ | 5,236 | 5,210 | 5,161 | 5,161 | 5,059 |
| 一人一日当りの排出量(g) | 1,132 | 1,124 | 1,106 | 1,086 | 1,086 |
※ 環境省 報道発表資料「産業廃棄物の排出及び処理状況等について」
※※ 環境省 報道発表資料「一般廃棄物の排出及び処理状況等について」
一方、一般廃棄物の年間排出量は年間5,000万トンで、産業廃棄物と同様の状況が認められる。また、国民1人1日当りに換算したごみの排出量は1,100gになる。単純に考えれば、一人当たり年間約400kgものごみを排出することになり、市区町村の責任において定期的に収集が行われ、適切に処理、処分が施されることになる。これに対し、産業廃棄物は、事業者自身の処理責任において処理、処分することが義務付けられている。
4.廃棄物の資源化量と最終処分量
2004年度実績における一般廃棄物ならびに産業廃棄物の総排出量は、5,059万トン、4億1,162万トンであった。それぞれの廃棄物のフローシートは、図2、図3に示すような結果となった。すなわち、一般廃棄物では、1)直接あるいは処理後に資源化されるもの、2)中間処理で減量化されるもの、3)直接あるいは処理後に最終処分場で処分されるものに分けられる。総資源化量は集団回収による292万トンを含め、940万トンであった。これは、総排出量の19%に止まっている。

図2 一般廃棄物のフローシート
これに対し、最終処分場に埋め立てられる量は809万トンで、総排出量の16%であり、一般廃棄物の処理の目的は、焼却による減量化にあることが分かる。
また、産業廃棄物では、直接再生利用されるものと中間処理後に再利用されるものを合わせた量は2億133万トンであり、総排出量の49%に及ぶ。この数値は、一般廃棄物の資源化率の2.6倍である。さらに最終処分量は、総排出量の7%に過ぎないが、一般廃棄物の場合の約3.8倍になる。

図3 産業廃棄物のフローシート
以上より、産業廃棄物の再生利用率は一般廃棄物の3倍以上になり、意外に思われかも知れない。これは一般廃棄物が雑多であること、少量有毒物資の混入が認められことなどが、資源性を低くしていると考えてよい。
5.最終処分場の残余年数
前述したように、一般廃棄物の処理の目的は減量化にあり、資源化率が低いことが特徴である。一方、産業廃棄物では相対的に資源性は高いが、最終処分量の絶対値が極めて大きい。
何れにせよ、廃棄物問題において最も重要なことは、最終処分場の確保である。特に土地利用が高度化している大都市圏で、深刻な状況にある。2003年現在、一般廃棄物を受け入れ可能とする最終処分場の容量(残余容量)は1.37億m3で、埋め立てが行える期間(残余年数)で表すと13.2年となる。これと比較すると産業廃棄物の場合、残存する受け入れ容量は1.84億m3で、一般廃棄物の残余容量を凌いでいるが、年間当たりの最終処分容量の絶対値が大きいため、残余年数は6.1年程度と推測されている。
したがって、最終処分場の延命させるためにも、廃棄物の一層の有効活用が必須の課題になる。
また、一方で最終処分場の受け入れ容量が切迫すると不法投棄が懸念される。2004年度実績によれば不法投棄件数、673件、不法投棄量17.2万トンとなっている。ただし、ここで注意を要するのは、投棄件数及び投棄量は、1件当たりの投棄量が10トン以上の事案を集計対象にしている点である。不法投棄は、単に投棄量の多少に関わらず、直ちに水質汚染、土壌汚染と関連することから、より厳しい対応が望まれる。
6.廃棄物と向き合う技術
近年、廃棄物問題を考える上で、循環型社会の形成が叫ばれている。すなわち、廃棄物の発生抑制(Reduce)、再使用(Reuse)、再生利用(Recycle)を通じて、「天然資源の消費を抑制し、環境への負荷を極力低減する社会」の実現が唱えられている。それを最終的に支えるものが、地盤工学である。
自然界より採取した資源を、目的に応じて使用することが、本来の利用の仕方であろう。しかし、製品製造の過程で必然的に不要物が発生する。それを空中に漂わせておくわけには行かないし、海に流してしまう訳にも行かない。さらに、処分場の容量に限界が有れば、資源として有効活用を徹底する以外に方法はない。そうした場合、廃棄物の材料特性が改善されたと仮定したとき、それらを大量に受け容れて活用出来るか否かの判定は、地盤技術に他ならない。もちろん、廃棄物の有効利用が汚染の拡散に繋がることの無いよう材料からの有害物質の溶出には最大の注意を払う必要がある。
また、現実に最終処分場のかさ上げや斜面の急勾配化で埋め立て容量を確保する場合も、その安全性は地盤技術によって評価される。さらに、処分場の維持管理上、漏水問題は極めて重要な課題である。漏水を起こさないための技術も、また地盤工学が大きく貢献している。
以上、雑駁ながら物質循環⇒廃棄物の排出⇒環境問題⇒地盤工学の関わりを概観した。この分野に多くの方々が関心を寄せられ、安全・安心の技術がさらに大きく進展することを期待致します。