応用化学科・専攻

理工学研究科応用化学専攻 前田 尚志 さんが分離技術会年会2025 において受賞

理工学研究科応用化学専攻 前田 尚志 さんが、分離技術会年会2025 において優秀講演賞を受賞しました。

学会名
分離技術会年会2025

受賞テーマ

<大阪ガスケミカル奨励賞>
ガス分離膜の機能最適化のための第一原理計算と転移学習の連携

前田 尚志・森 寛敏
(中央大学)

高分子膜による CO2 分離は、地球温暖化対策や LNG 精製、バイオガス利用など、持続可能社会の実現に不可欠な技術として注目されています。しかし、均一な条件で評価された高分子膜の物性データが依然として限られており、データ駆動型による高効率な材料最適化は十分に進んでいません。

本研究では、少数データ下でも高精度な予測を実現する転移学習と、分子レベルの第一原理電子状態計算を融合した「電子状態インフォマティクス」を提案し、複数のガス分離系に適用しました。その結果、透過率と選択率を同時に実測精度で再現できる新しい予測モデルの構築に成功しました。

本手法は、近年のノーベル化学賞にも象徴される AI と量子化学の融合という新潮流に呼応するものであり、経験的相関に依存せず電子構造そのものから材料機能を設計する次世代型アプローチです。今後は、有機高分子膜に加えて、金属–有機構造体(MOF)などを組み合わせた複合ガス分離膜への展開も期待されます。

本研究の独創性と汎用性が高く評価され、本大会で唯一の口頭発表奨励賞として表彰されました。

ご興味をお持ちの方は、以下のリンク先をご覧ください。

理論化学研究室(森研)