総合政策学部

総合政策学部4年 橋本有理さんがみずほ学術振興財団の懸賞論文で佳作を受賞しました

2018年08月24日

国際政策文化学科 4年 橋本有理さんが、公益財団法人みずほ学術振興財団「平成30年度(第59回)懸賞論文」経済の部において「佳作」を受賞しましたのでご案内いたします。橋本さんは、FLP 1 地域・公共マネジメントプログラム山﨑朗ゼミ(経済学部教授)に所属しており、同じゼミ生である商学部 髙橋優果さんと共同で「地域金融のあり方を考える」というテーマの論文を作成しました。

 

-受賞おめでとうございます!受賞した時のお気持ちはいかがでしたか?
橋本 
 ありがとうございます。まさか自分たちの論文に賞がいただけるとは思っておらず、驚いたのが正直な感想です。締め切りに間に合わせるため年末年始返上で執筆したので、今回の受賞で努力が報われた気持ちでいます。

 

-FLP地域・公共マネジメントプログラム山﨑ゼミに所属されていますが、どのような研究をされているのですか?
橋本
 地域創生を中心に調査しています。一般的には「地方創生」という言葉が使われていますが、私たちのゼミでは都市部も地方も関係なく、その地域の魅力を引き出すことを重視しているので「地域創生」という言葉を使っています。具体的には、日本全国の地域を対象にどのような地域活性化事業が行なわれているかを調査しています。印象に残っているケースのひとつに「永平寺門前の再構築プロジェクト」があります。福井県、福井県永平寺町、永平寺の3者と六本木ヒルズで有名な森ビル株式会社が協力し、官民一体で永平寺周辺の歴史的景観の整備を行っています。地域創生はその土地の特性を活かすものなので、取り組む内容は地域によって多種多様です。このプロジェクトでは、永平寺の周りに古い街並みを再現することで、地域を一体化させ、まちの魅力を引き出していました。景観の整備は地域の特性を活かす一手段ですし、他の地域でも活かせる事業なので、勉強になりました。

サマースクールに参加した山﨑ゼミのメンバー
橋本さん(左から2人目)

-地域創生ということですが、他にどのような地域を調査しましたか?
橋本
 2年次に、FLP地域・公共マネジメントプログラム全体で行った「Summer School in 沼田市」に参加しました。11のゼミが群馬県沼田市を対象に4月から8月にかけて事前調査を行い、8月末に沼田市で行なわれた2泊3日の合宿で現地調査と発表を経て、秋に中間報告、冬に最終報告をする、一年がかりの行事でした。わたしたちのゼミは沼田市の地場産業における「新しい顧客の創造」をテーマに調査研究をしました。沼田市や周辺の地域では酒造りが盛んで、中には海外に輸出している酒造もありました。そこで、海外でも注目を集め始めている日本酒に着目し、ふるさと納税を活用して日本酒を含めた沼田市の特産品を県外にアピールし、地域活性化につなげる政策案を考えました。合宿では市役所の方から意見を頂く機会があり、その意見を踏まえて改善を重ねました。相手方から意見を頂くことで、よりよい政策を提案することができたので、貴重な経験ができたと感じています。

表彰式で賞状を手にする橋本さん(右)

-蓄積した研究が今回につながったのですね。論文コンテストの募集テーマが「地域金融のあり方を考える」でしたが、どのような内容ですか?
橋本
 論文コンテストには今まで研究してきたことをカタチに残したいという気持ちで挑戦しました。地方銀行は近年再編するケースが増えてきているので、その問題点を明示しつつ、地方銀行が存続していく方法を提言する論文を執筆しました。地方銀行の再編は地域に根ざした独自のサービスが提供しづらくなるという危険性がありますが、一方で、再編することなく、地域のニーズに応えた事業を行なう地方銀行もありました。例えば、岐阜県大垣市に本店を置く大垣共立銀行は、ATMや窓口といった銀行の機能を搭載させた車で店舗の少ない地域に巡回営業を行なっています。移動店舗は全国金融機関初の試みで、従来の金融機関に捕らわれないサービスを、他行に先駆けて実施しています。他にも、「シングルマザー応援ローン」や「女性のための離婚関連専用ローン」といった、女性を支援する融資も充実しています。地域格差や女性問題といった、今起こっている社会現象を察知し、人々が求めるものに素早く応じているのだと思いました。社会的課題の解決に取り組む企業や自治体が増えている今日、金融機関においても社会的役割が求められているのだと感じました。地域活性化と金融は一見関連性がないように見えますが、今回着目した地方銀行は地域に根ざした金融機関なので、地域の課題に取り組んでいる点では共通点がありました。そのため、調査をしていてやりがいのあるテーマだと感じましたし、挑戦して良かったと思っています。 

 

-将来の目標を教えてください。
橋本
 地域の特産物をPRして観光につなげ、地域経済を活性化させる仕事がしたいと思っています。加藤ゼミでの学びも生かし、多様な文化を持つ外国の方にも幅広く受け入れていただけるようなアピールをしていきたいです。

FLP=ファカルティリンケージ・プログラム

ファカルティリンケージ・プログラム(FLP)とは、各学部に設置されている授業科目を有機的にリンクさせ、新たな知的関心の領域に対応する教育の「場」を設定するプログラムとして誕生しました。学生は所属学部に学びながら、プログラムの履修ができます。

本プログラムは、学生がそれぞれの所属学部で主専攻の課程を修めるという基本的な枠組みのもとに、学部の枠を越えて設けられた新たな知的領域を系統的・体系的に学修し、学際的な視点から専門知識の修得と問題解決能力を高めることを目的としています。

現代社会において、このような学際的な領域の問題解決能力を必要とする職種が年々増えていることから、「環境」「ジャーナリズム」「国際協力」「スポーツ・健康科学」「地域・公共マネジメント」の5プログラムを開設しています。