ドイツ語文学文化専攻

「特色ある学部教育補助予算(2015)」による講演会の報告

2016年02月03日

 「2015年度 文学部 特色ある学部教育補助予算」の助成を受け、2015年11月16日に、高田博行氏(学習院大学文学部教授)を講師に招き「『歴史語用論』講演会」を実施しました。演題は「ヒトラー演説 −独裁者の語り口を注視せよ」で、講演会には、文学部ドイツ語文学文化の学生に加え、大学院文学研究科の大学院生が参加しました。会場は満席となる盛会でした。

 高田氏は、「歴史語用論」の視点から、「ヒトラー演説150万語データ」をとりあげ、音声、語彙、ジェスチャー、レトリックについての客観的な分析および考察の結果を示されました。また、学生が、データに基づいて発言することの重要性に気づくような形で講演を進められました。講演後には学部1年生に至るまで、講演内容を踏まえた質問が出され、内容の濃い有意義な質疑応答の時間となりました。

 講演会に参加した学生には、(1)言語学の視点から、(2)歴史学の視点から、(3)自由記述の3項目についてリアクションペーパーを書いてもらいました。そこからは、まず言語事実を検証し、それを歴史的文脈の中で捉えることの重要性を理解したこと、また、その学問的プロセスのおもしろさに魅了された様子が読み取れました。

 本講演会は、言語学、文化学、現代史の各分野に取り組む学生が、実際のデータ分析のプロセスを追体験できるようにと企画したものですが、期待通り、あるいはそれ以上の実り多いものとなりました。

林 明子