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法学部
【活動レポート】橋本 美緒 (国際企業関係法学科2年)

「やる気応援奨学金」リポート(29) 国際金融でインターンシップ 挫折や出会いによる成長実感

はじめに

今回私は、「やる気応援奨学金」を頂いて夏休みに実施した国際金融インターンシップについて紹介させていただきたい。法学部には、4分野5プログラムのアカデミックインターンシップ講座がある。私が参加した国際金融インターンシップ(国際金融証券市場と法)の講座は「国際」分野に設置された2プログラムのうちの1つで、法律、経済の知識を生かして海外と関係を持つ実務に携わっていきたいと考える学生を主な対象としている。この講座は大きく分けて前期・夏休みの研修・後期と3つの柱から成り立っている。
まず私がこのインターンシップに参加しようと思った動機を述べたいと思う。最大の理由は、金融為替市場を学びたいからだ。そのきかっけとなったのが留学と小さいころからの外国製品に対する関心である。高校の時から3回留学を経験しているのだが、日本円を外貨に替えると毎回為替レートが変動していることや外貨の預金に対する金利が高いことを知って興味を覚えた。また将来、外国製品を買い付けに行き日本に輸入するバイヤーという仕事に就きたいと思っている私にとってこのインターンシップで得られる知識と経験は必ず将来に生かすことが出来ると思い参加した。

事前学習

海外研修の事前学習として前期授業では、後ほど紹介させていただく雁金利男先生を始めとする大和証券グループ各社の幹部の方々が毎週講義をしてくださる。その後、夏休みには国内(企業、東証など)、及び海外(香港やシンガポールの大和証券、深セン証券取引所など)で2週間程度の研修を行う。後期授業では、インターンシップの経験に基づいた各自の研究成果に関する個別報告と討議を行い、知識を深めることを目的としている。これは、前期授業及び夏期研修でインプットを中心に学習を進めることによって得られた成果を踏まえて、履修者が自己の問題関心に応じた成果をアウトプットするために設けられているのである。

先ほど紹介させていただいた雁金先生先は中央大学のOBであられ、現在は大和総研の顧問をなさっている方である。シンガポールでの勤務経験が非常に長く、シンガポールの金融資本市場の発展に大変貢献し、アジア金融市場のエキスパートである。雁金先生や実務家の方々に金融市場の現状を直接講義していただくことによってより金融に対する関心が強まったように思う。また国内と海外の両方で研修を行うことで、海外と日本の金融市場を比較することも出来、ワールドワイドな視野で金融市場をとらえられたと思う。それでは実際、中国とシンガポールで行った実地研修について詳しくお伝えしたいと思う。

中国での実地研修

中国滞在中に私が毎日考えていたことは、経済格差についてである。最初は、今にも壊れそうなマンションや日曜日は居場所がなくなり公園に集まる家政婦さんたちをただかわいそうだと思い、一方どんどん家賃が上がっていく高級住宅やベンツを乗り回している富裕層の人々を見て複雑な気持ちになり、格差=差別でしかないと思っていた。また日本ではお金重視という考え方にあまり良い印象を持たないが、中国では多くの人がお金重視だと考えているように思う。私も初めは、お金重視という考え方はあまり良くないと思っていたがそれは日本でお金に困った生活をしていないからだと気付かされた。小さいころから貧富の差を目の当たりにし、貧しい生活をしていたらお金重視という考え方になるのが自然のことだと思う。本当に格差=差別なのだろうか、またどうしてこのような格差が生まれてしまっただろうか、私は真の経済格差について自問自答を繰り返していた。しかし研修中に出会えた方々のお話を聞くことにより少しずつ自分なりに分かってきたように思う。
ストラテジストとして中国の現状を過大、過小評価せず冷静な判断力を持って評価していらっしゃった大和証券SMBCの由井濱さん、40年後中国の下で働く香港の将来に対しとてもポジティブに考えていらっしゃった大和証券SMBC香港のMr. Richard、フランスにおいても御活躍され香港は良くも悪くもお金重視であるとおっしゃった同社の赤岩社長、すべてが機械化され建物の至る所に冷房が完備されていたHSBC、職業によって選挙権が平等ではないことなど政治面では社会主義体制を採っている立法府、富裕層ビジネスとして成功を収め自社に対する確固たる自信を持っている不動産会社のMidland Realty、取引所としては歴史が浅く中国政府に権限を委ねている深セン証券取引所、家族のために毎日12時間働くことを運命であるかのごとく受け止めているブラザー工業の女工さん、去年に比べ6000人もの労働者を増員し巨大な労働力を基に発展を遂げているブラザー工業。
初めは、格差=差別だと思っていたのだが格差が必ずしも差別を生み出しているのではないように思った。私は、今までアルバイト経験がないので自分でお金を稼いだこともなくお金の価値を改めて考えたこともなかった。私はどれだけ自分が恵まれていたかということを痛感させられた。またどうしたらこのような経済格差がなくなるのだろうという問題に対しては、必ずしも全く格差をなくす必要はないと思った。中国をここまで発展させるために、計り知れない努力をして今やっと富裕層になった人々がたくさんいてそのような人々は大いに評価されるべきである。しかし、家族のためにただひたすら働き、お金がたまれば故郷に帰り結婚して子供を産むという、自分では変えることの出来ない運命を背負っているブラザー工業の女工さんたちを思い出すと、同じ女性として胸が締め付けられた。だからといって私に何が出来るのだろうと考えた時にどうすることも出来ず、ただただ自分の無力さを感じていた。最後にブラザー工業の社長さんがおっしゃった「あなたたちがどれだけ恵まれているのかよく考えなさい」というお言葉が私にとってとても重みのあるものに感じられた。

シンガポールでの実地研修

シンガポールでは、どこに行っても多民族国家であるということを感じさせられた。訪れる前は、これだけの多民族国家なのになぜ民族対立が起きないのかということや、外国人の占める割合の方が多く外国の資本を基に発展を遂げていることを自国のシンガポール人はどのように考えているのだろうという疑問を持っていた。しかし訪れてみると多民族の人々がお互いを尊重し合いながらうまく融合しているように見受けられた。だからシンガポールが国際ビジネスに適しているのだと思う。また、資源に乏しいシンガポールは、外国資本と外資系企業を呼び込みそれにより雇用が生まれ発展を遂げることが出来たので自国のシンガポール人にとっても良い影響をもたらしているのである。また、民族対立が起きないようにしっかりとした法制度を整えているのもシンガポールの特徴だ。
このように整った法制度によって発展したシンガポールだからこそトップに立っているのは女性が多いという現状を語ってくれた大和証券SMBCの岡社長、理系を卒業されアナリストとしてミクロの観点もお持ちになっている大和証券SMBCシンガポールの高品社長、社会人としてもまた学生としてもいつでも向上心を持ちチャンスを自分でつかんでこられたシンガポールの資産運用大学SMUに通われている杉本さん、与えられた場所で遺憾なく力を発揮し、どんどん自分の可能性を広げられた大和証券のトレーダーである町田さん、力強い英語でコーポレートガバナンスの必要性について説明していただき「ミスをしても良い失敗を恐れるな」と励ましてくれたKeppel FELS工場のTeo社長、深セン証券取引所とは対照的に上場基準を緩くすることで外国企業を呼び込もうとしているシンガポール証券取引所、最後に私のモチベーションが上がる大きな要因となった「資格は決して自分を裏切らない」というお話をしたRajah&Tann Advocates&Solicitorsの上野弁護士、中央大学卒業後の翌年に司法試験に合格され「毎日自分より勉強した人はいない」という根性論を説かれた田丸弁護士。

ここで出会えた方々は色々な分野における成功者である。だから自信に満ちあふれ輝いて見え、言葉に重みがあり短いお話の間に自然と人を引き付けることが出来るのだと思う。その時その時に最大の努力をし、困難な道のりを歩んできたから自信や達成感、充実感を得ることが出来るのだ。私は研修中に出会えた立派な方々や由緒ある訪問先、すべてに魅了され興奮させられ刺激を受けた。実務家の方々のように私も努力次第で可能性を無限に広げることが出来るのだと考えることが出来た。

挫折・出会い・成長

10日間の海外研修が終わり日本に帰国して久しぶりに家族と会った時はあんど感と共に海外渡航による疲労感を覚えたが、それよりもなぜだか抑えることの出来ない気持ちでいっぱいになった。この気持ちを表す的確な言葉が見当たらないのだがまさにこの時、私のやる気に火が付いたのだ。突き動かされる衝動に駆られとても熱い気持ちになり挑戦する意欲がわいた。これこそがインターンシップを通して1番の収穫である。
しかし、海外研修を迎えるまで幾度も挫折を味わったのだ。前期の講義では、毎回何十頁もあるレジュメを配られるのだが、金融の知識が全くない私にとってはレジュメさえ理解出来ず、まず参考文献を読まなければならなかった。1人でレジュメのすべてを把握することは容易なことではないので、履修者全員で理解度を深めるために授業の前に毎回サブゼミを行っていた。サブゼミの内容は、毎回1週間前に頂くレジュメを全員で分担し、各自その範囲のレジュメを作り質問を考えてきてそれを検討するということである。私たちで解決出来なかった問題のみを実務家の方々に質問するということで質問の質を高めることを目的とした。履修者は法学部3学科の2年生から4年生ということで各々が持っている異なったバックグラウンドや知識を生かして討論することが出来、とても充実したサブゼミを行うことが出来た。サブゼミやインターンシップを通した高い志を持った履修者との出会いも私にとって刺激や励みになった。それでも最初は講義内容を理解することに精いっぱいでその後の質疑応答で質問することも出来ずに終わってしまうこともあり、毎回自分の勉強不足に対して悔しい思いでいっぱいだった。
1番の原動力となった挫折は、「やる気応援奨学金」を頂くための面接だった。面接の内容はわずか10分程度で日経新聞の記事を読みその記事が国際社会にどのような影響を及ぼすかということをグループディスカッションするというものだった。国際金融インターンシップを受講してから日経新聞を毎日読んでいたのだが、その記事が国際社会にどのような影響を及ぼすかまでは考えていなかったため、面接でもうまく討論することが出来ず、その場で山内先生から社会では不合格と言われてしまった。結果的には奨学金を頂くことが出来たのだが、討論出来なかった自分に対して悔しさや情けなさを感じ、この状態で海外研修に行ってはいけないと強く思った。その収まらない悔しさをバネに夏休みに入ってから、必死で研修に向けての事前準備に取り組んだ。

このインターンシップを受講するために受けた面接の時に「私は金融の知識も優れた語学能力もないですがこのインターンシップにかける意欲はだれよりもあります」と自らが言った言葉を思い出し、研修中は必ず実務家の方々の1番近くに座り、だれよりも積極的に多く質問をするという目標を設定した。決して容易なことではなかったが、この目標を一時も忘れずにすべての講義で実践することによって何も発言出来なかった自分から大きく変われたように思う。私はこのインターンシップにかける揺るぎない意欲があったらから、挫折によって悔しさを得ることが出来、実務家の方々との出会いによって成長することが出来たのだと思う。人は挫折や出会いによって大きく成長することを実感した。

終わりに

この素晴らしい経験によって社会を知ることが出来、自分の将来に向けての方向性が少しずつ見えてきたように思う。大学2年生という早い時期に私がこのインターシップに参加出来たことは本当に幸運なことであり、御協力してくださった方々へ感謝の気持ちでいっぱいである。どのように感謝の意を表すべきなのか考えた結果、ここで得た経験や芽生えた感情を忘れることなく将来に向けて努力し社会に貢献することがその1つだと思う。
私は、このインターンシップにおける実務家の方々との出会いによって大きく変われた。多くの素晴らしい人に出会いたくさんの刺激を受け、金融についてだけではなく、生きていくうえで大切な人生論を教えていただいた。常に上を目指し今まで努力してきたからこそ、あのような人生論を語ることが出来るのである。もちろん初めから自分の思い通りにいったわけではなく、何度も失敗を繰り返しながら、それでもあきらめずに頑張ってきたから成功したのだと思う。私がここでいう成功というのは、たくさんお金を持っていることや立派な地位にいることではなく、自分の仕事に誇りを持って働いているということだ。自分の仕事に誇りを持っているから、実務家の方々があんなに輝いて見えたのだと思う。いつか自分も誇りを持って働き輝けるように、今出来ることを精いっぱい努力したいと思う。チャンスは自らの手でつかむものである。
今後の私の計画としては1年次の短期留学、2年次の国際金融インターンシップの経験を基に3年次では、アメリカの大学に1年間の長期留学をして法律だけではなく、インターシップで得たビジネスの知識についてより深く学ぼうと思っている。そのために現在、留学の手続きや英語の勉強に励んでいる毎日である。今後も自分の将来に向けて挑戦していきたいと思う。
最後に、雁金先生を始め大和証券の皆様、そのほか訪問先で私たちを温かく迎えてくれたすべての皆様、研修に御協力いただいたすべての方々に心から御礼を申し上げたい。当初は理解出来なかった「金融は社会活動における血液です」という山内先生のお言葉が研修を通して理解出来たように思う。今私の中には金融インターンシップによって得た経験が血液として確かに流れて原動力となっている。

草のみどり 203号掲載(2007年2月号)

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