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法学部
【活動レポート】中川 佳宣 (法律学科3年)

「やる気応援奨学金」リポート(6) ドイツに語学留学し上達実感 弁護士を目指し裁判所も見学

ドイツ留学決意

私は大学に入学してからドイツ語を学び始め、始めのうちはドイツに行きたいという考えも、「せっかくドイツ語を学んだのだから、ドイツに行ってみようかな」という漠然としたものだった。しかし、2年間ドイツ語を学び、また良い先生方との交流を持っていく中で、ドイツ語への興味を増していき、最終的には「自分のドイツ語がどのくらい通じるのか試してみたい。そして出来ることならドイツ語の力をもっと伸ばしたい」と留学を決意するまでになっていた。

出発までの長い道のり

ドイツ留学を決意したところで、ここからが長い道のりだった。「やる気応援奨学金」は「すべて自分で行う」ということが建前となっており、語学学校の手配、ドイツでの宿泊先の手配、飛行機の手配などすべて自分で行うことになる。語学学校を決めた後、次はその学校に入学許可をもらわなくてはならない。国際郵便では時間が掛かるため、Eメールを利用した。ドイツ語でEメールを利用するのは当然初めてのことで、苦労が絶えなかった。
留学の最低限の準備が整ったところで「やる気応援奨学金」の受給許可を受けたのだが、ここから更に大変な問題が生じてしまうことに……。
日本を出発する3週間前、語学学校から届いた1枚のファクス。「経済的な理由により、あなたの予約を取り消します」というものだった。語学学校が経営困難でつぶれてしまったのである。
また初めから語学学校を探さなくてはいけなくなってしまった。そして、既に振り込んでしまった1550ユーロものお金の問題。予想しえなかった事態であったため、とにかく慌ててしまった。しかし、その語学学校からは「キャンセル」とのファクスが1枚しか送られてきていない現状であり、その時点では何も対応することが出来なかったのである。
ただ慌てているだけではどうしようもないので、破産管財人の氏名と住所が書かれていたのを頼りに、ドイツに行った際、その人と話をしてお金を返してもらおうということを決意し、新しい語学学校の手配に取り掛かった。次の語学学校を決めてからはすぐに連絡を取り合い、語学学校側も素早い対応をしてくれたこともあって、何とか飛行機の出発日までに間に合わせることが出来た。
それでも、ホームステイ先の確保など完全に準備を整えることが出来たのは出発する2日前のことだった。

ドイツ語との格闘

無事にドイツに到着し、ホームステイ先の家族の方々とも会え、ほっと一息。しかし、次の日からは語学学校に行かなくてはならないというハードスケジュールだった。時差ぼけをしている暇すらもなかったのである。
ここからは今回の留学のメーンである、語学学校での授業についてお話ししたいと思う。
今回の留学における1番の目標は、語学力の向上(特に会話)だった。そのため、語学学校で効率よく勉強していくためには日本での準備も必要だと思い、文法の復習、リスニングの練習と、それなりに行っていった。準備もしてきたし大丈夫だろうと、軽い気持ちで臨んだ初日のクラス分け試験。その安易な考えは、初日から見事にくじかれてしまうこととなる。
クラス分け試験は文法及び先生との会話の試験だったのだが、文法試験の方は焦りを感じずに解くことが出来た。しかし、会話試験の方はというと、多少は聞き取ることも出来たのだが、話すことが本当に片言でしか出来ないという事態だった。緊張していたということもあるが、それでも明らかに自分の実力がないことが証明されてしまったのである。
そのため、文法レベルはMittelstufeⅠ(中級クラスⅠ)と言われたのだが、会話が出来ないということでクラスはGrundstufeⅡ(初級クラスⅡ)となってしまった。私のクラスは12人で、出身はアメリカ、イタリア、ポーランドが主だった。驚いたことに、初級クラスといっても、皆が会話だけは当然のように出来るのである。これには物すごく劣等感を覚えた。しかし、皆は文法があまり出来ていない。よく聞いていて分かったのだが、皆は特に文法を気にせず、または難しい文法を使わずに話していることが多かったのである。
では、なぜ会話が出来るように聞こえるのか。やはり私に比べ、多くの単語を知っているのである。文法は隣の人に教えてあげることも多かったのだが、会話や単語については教えてもらうことの方が多かった。単語が分からない時は「この単語は英語で何と言うの?(Wie heisst dieses Wort auf Englisch?)」と聞いたり、ドイツ語の単語が分からない時は「Wie heisst “probably” auf Deutsch?(“probably”はドイツ語では何と言うの?)」と積極的に聞いていった。
また、その単語の使い方が分からない時は「zum Beispiel?」と聞いて、例文を交ぜて教わるように意識していた。例文を聞くことにより、理解が深まるのである。そのことで何度か授業を中断させてしまったこともあったが、日本と違って分からないことがあると皆が積極的に先生に聞いていくので、私がしているようなことを皆がしているのである。授業よりもむしろ、そちらの方が勉強になった。

語学学校には4週間という短い期間しか通うことが出来なかったのだが、日本語とドイツ語を交ぜ合わせながら同じ期間勉強するよりも、確実にドイツ語が身についたと思う。ドイツの語学学校ではすべてドイツ語で授業が進むので、聞き取らなければ落ちこぼれてしまうという危機感と必死さがあったからだろう。

裁判所見学

今回のドイツ留学では、語学研修のほかにもう1つの目的があった。それがドイツの裁判所見学である。大学の授業で「法律ドイツ語」という授業を2年次に履修していたこと、また、私が法曹志望であることから、ドイツの裁判制度について興味を持っていたのである。
裁判所に入る際は、身分証明書(パスポート)の提示を求められた。そして、その身分証明書と引き換えに見学者バッジを渡された。次いで、身体検査をされ、カメラと携帯電話をロッカーに預けてくれとのことだった。日本に比べ、ボディーチェックが厳しいことに驚いてしまった。
裁判所はやはり専門用語が多い。そして当然のことながら、ドイツ語初心者がいることも考慮せず、とにかく話すのが早いのである。もちろん英語での補足説明もない。裁判のやりとりを聞き取れることがほとんどなかったというのが実情で、本当に悔しい思いをした。少しでも理解しようと必死だったのだが、裁判の流れを見ていくだけで精いっぱいだった。

写真撮影が禁止だったため記憶に頼ることとなってしまうが、裁判所の雰囲気は日本と比べて大きな違いはなかった。ただ一つだけ、弁護士の態度が相当大きく悪かったという印象は受けた。民事裁判でのことなのだが、どちらの弁護士も足を組みながらほとんど話を聞いていないといった様子だったのである。アメリカより訴訟が大好きというドイツ。それだけ多く訴訟があるということは、態度も厳格なものを要求しなくなっているのではないかと感じられた。

1550ユーロの行方

出発する前に語学学校がつぶれてしまったというお話をしたが、お金を取り戻すために奮闘もしてきた。
弁護士の人と会って1番初めに言われたこと、それが「お金は返ってこない」ということだった。「なぜ?」と聞き返したところ、「それがドイツの法律だから」とあっさりと答えられてしまった。そんなことを言われても私はどうしても納得することが出来ず、「私も日本で法律の勉強をしている。だから詳しいことを教えてほしい。そして、どうしてもお金を返してほしい」ということを伝えたのだが、いかんせん難しい単語が多く、会話もなかなか進まなかった。
私の必死さを分かってくれたのか、「ほとんどお金が戻ってくる可能性はないが書いてみるだけ書いてみれば良い」ということで「破産手続きにおける債権申立書」という書類を手渡してくれた。それを記入し、提出したというところで、今回の奮闘は終わった。
すべてが決定するまで、1年から1年半は掛かるということらしい。この問題は今回の留学が終わってもまだまだ続いていくものである。大変なことであるが、私の勉強になることでもあるし、これからもあきらめずにこの問題と向き合っていこうと考えている。

20歳を迎えて

ドイツでの生活で1番心に残っていることといえば、やはりドイツで20歳の誕生日を迎えたことである。ステイ先の家ではケーキを作ってもらい、クラスメートも誕生日会を開いてくれ、多くの人が私の誕生日を祝ってくれた。このことはとてもうれしいことだった。一生、心に残る誕生日となった。

将来に向けて

私は将来、弁護士になることを目指している。そのため、これからは一層、法律の勉強に力を入れていこうと考えている。ただ、これからは国際化の時代である。たとえ弁護士になったとしても、日本語を話せるだけでは、この時代の流れに対応出来なくなるのではないかと私は思う。そのことを考えた場合、法律だけではなく英語やドイツ語も出来るというのはかなりの強みになるであろう。

今回の留学に関しては、偶然ながらドイツの法律事件に巻き込まれた。そのことを通じて疑問に思ったのが、「英語の出来る弁護士は大勢いるだろうが、ドイツ語の出来る弁護士はどのくらいいるのだろうか」ということである。私は、その数少ないであろう、ドイツ語の出来る弁護士になりたいと考えている。そこで、弁護士になった後にはもう1度、ドイツ語を本格的に学ぶため、そしてドイツの法律を学ぶためにドイツへ留学したいと考えている。
加えて、語学学校の破産の件に関しては、これから先もかかわってくる問題である。この年でドイツの法律事件に巻き込まれる経験はめったに出来ることではないと思うので、このことを通しての経験も今後の将来のために生かしていこうと考えている。

最後に

今回は4週間、ドイツへ留学したわけだが、前述したように日本では経験することが出来ないさまざまな経験をしてきた。このドイツでの経験はこれからも私の礎となっていくに違いないであろう。また、1日を通してドイツ語で会話をし、英語もほとんど使わない生活をしてきたことは、短いドイツでの滞在だったがドイツ語の上達を実感することが出来、大きな自信につながった。
最初のうちは「ドイツに行こうかな」という、本当に漠然とした考えでしかなかった。しかし、留学を決意し、その一歩をためらうのではなく、踏み出したからこそ今の自分がいる。そこから無限の可能性につなげられるとの確信があったからこそ踏み出せた一歩だった。この「やる気応援奨学金」は、自分の決意、努力をバックアップしてくれるとても良い制度だと思う。
最後となってしまったが、今まで私にお力添えをしてくださった先生方、更には友人たちに心から感謝をしたいと思う。

草のみどり 180号掲載(2004年11月号)

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