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法学部
【活動レポート】渋谷 久美 (2000年入学・政治学科)

活動データ

  • Language and cultural study in Northern Ireland
  • 1月25日から2月16日 Dublin, Belfast, Londonderry/Derry, London
  • 2002年度後期選考(英語分野)

活動概要

  • 1月25日 日本を出発。乗り換えの関係でコペンハーゲンのエアポートホテルで一泊する。
  • 1月26日 コペンハーゲンからダブリンへ
  • 1月27日~2月7日 語学研修開始
    9:00~13:00 文法・リスニング演習中心の授業
    14:30~16:30 会話中心のクラス
  • 2月8日~11日 ダブリンからベルファストへ
    • ベルファストの北アイルランド紛争を象徴した政治的壁画を見るためのツアーに参加。
    • カトリックの居住地FALLSとプロテスタントの居住地SHANKILLを散策。
    • Equality Commissionという政府系差別撤廃団体に話を聞きに行く。
    • デリー/ロンドンデリーへ行く。北アイルランド紛争の舞台となった北西のボグサイドを主に散策し、政治的壁画を見る。写真を撮っていたら怒られる。
  • 2月11日 夕方、ベルファストを出てロンドンに行く。その後スウェーデンにいる友人を訪ねる。
  • 2月16日 帰国

活動の成果

奨学金応募のきっかけ・アイルランドを選んだ理由

 私がやる気応援奨学金に応募し、アイルランドへ行こうと思ったきっかけは、ゼミ論文であった。私はゼミ論文のテーマとして北アイルランド紛争における和平プロセスを選んだ。だが、実際に北アイルランド紛争について調べてみると、想像以上に文献は少なく、研究者も少ないことに気づいた。特に私が調べたいテーマについての文献はさらに少ないことから、「自分で行って情報を得てこよう。」と思ったのである。また文献をあたっているだけでは紛争もただの紙の上の事実としてしか考えられなかったので、実際に紛争地を訪ねることで見方が変わるのではないか、新しい事実が判明するのではないか、という期待もあった。実際に紛争地を訪ねることで北アイルランド紛争をもっと実感あるものとして捉えられるようになりたいと思いやる気応援奨学金を利用してアイルランドへ行ったのである。最終的には四年生で論文を完成させるわけだが、自分だけしかかけないようなオリジナルな論文にしたかったことや、本には載っていない最新の情報や現地の声が聞きたかったので、目的にあうような市民団体などを探し、話を聞くことにした。現地の団体に話を聞くにはそれ相応の英語力が必要とされるし、自分でも英語に慣れる時間が欲しかったので、まずは2週間ダブリンで語学研修をすることにした。また、実際に話を聞くにはリスニング能力だけではなくスピーキング能力が重要となるので、午後のクラスも受講し、少しでも多く英語に触れることにした。

語学学校

 実際に語学学校にいってみると想像とは大違いで何度もクラスを変わらなければならなかった。2週間という短い期間なのにクラスを変わることはできるだけ避けたかったのだが、仕方がなかった。最初に入ったクラスはクラスのほとんどがヨーロッパ出身でまるで母国語のように英語を操っていた。教師はもちろんアイルランド人で、話には聞いていたが、アイリッシュの英語はとても早く、独特のアクセントもある。クラスのレベルは非常に高かったが、何とか頑張ろうと思っていた。しかし、早々教師からクラス替えするべきだと強く諭され、ひとつ下のクラスに移ったが、またもや考えもしなかった問題が待っていた。次に移ったひとつ下のIntermidiatry3というクラスは10人中7人が中国人で、休み時間だけならまだ我慢できるが、彼らは授業中もひっきりなしに中国語を話していた。教師もそれを注意するわけでもなく、またHWもテキストもない。これでは自分が何のためにダブリンまで来たのか分からないと思い、クラス替えを希望した。後で知っていささかショックを受けたのだが、そこは中国人用のクラスだったのである。

 結局私が最終的に落ち着いたクラスはADVANCE1というクラスで、人数は11人と比較的少なかったので、発言しやすく、ヨーロッパの学生のように頭で考えてしまうのではなく、まずは口に出してみるようになった。生徒の国籍が中国、スペイン、イタリア、ロシア、韓国、フランス、そして日本というように非常に多国籍だったので、授業はテキスト中心ではなく文化の違いを比較しながらの授業だった。そのため、より発言しやすかったといえるだろう。また、以前のクラスとは違って中国人は比較的多かったものの、教師が厳しく注意し、罰則が科せられていたので前のクラスほど中国語は飛び交っていなかった。また、授業とは関係ないが私がエッセイを書くと必ず細かく添削してくれたり、授業以外のテキストの質問・疑問にも毎日応対してくれたりと、よい教師にめぐり合えたと思う。

 クラス替えはいろいろと問題もあり大変だったが、そのおかげで自分の考えていることをスタッフにわかってもらえたり、スタッフとその分親しくなれたり、英語の交渉することにためらいを感じなくなったので我慢せずに忍耐強く交渉を重ねてよかったと思う。
 また、アイルランドにいながらにして中国について改めて考えることになった。この時期アイルランドは景気が上昇中ということで、数多くの中国人がダブリンにやってきていた。私の選んだ学校はダブリンでも最大規模の学校の一つということで学校の至る所で中国語が飛び交い、中国語の掲示があった。また、ダブリンのお店には必ずといっていいほど中国人がいる。アイルランド全体でその中国人の数は10万人以上といわれているほどである。彼らは本国の家族のために比較的簡単に取れる学生ビザのもとで許される限りのアルバイトをし、自分のスキルアップのために努力し、さらには家族に送金をしている学生さえいる。私が2番目に入ったクラスはそのような学生のためのクラスだったのである。学校側もそれを暗黙の了解としているから、彼らの授業態度に文句をつけず見ない振りをしているのだ。私が学校のスタッフに中国人のいないクラスに行きたいといったとき彼らは、そんな学校はダブリンにない、と言って相手にしてくれなかった。そのときは大変腹がたったが、今となっては随分と無茶なことを言っていたのだと思う。中国の人口量の多さと日本人との目的意識の差を感じずにはいられなかった。彼らの中にはただ英語を学ぶ目的に語学学校に通い観光をしている日本人学生に対し嫌悪の目を向ける人もいた。どちらの目的が正しいとも間違っているとも言えないけれども、何かそこに違和感を感じられずにはいられなかったし、中国人が日本をライバル視する理由が何となく分かったような気がした。

北アイルランドへ

 2週間の語学研修を終え、一番の目的であった北アイルランドへ向かった。市街地は特に問題はなく、イギリス連合国の一部ということでその雰囲気はまさにアイルランドというよりもイギリスであった。だが一歩道を入り込めばとたんに様相を変え、危険区となり、安全とは決していえない。居住区はカトリック地域とプロテスタント地域にはっきりと分かれていて、カトリック地域は高い塀で囲まれ、その門のところには普段は兵隊が立っているということだ。過去に爆弾テロがあった場所などには監視カメラが設置され、24時間監視されている。街の至る所に政治的壁画があり、その紛争の根強さを感じさせた。プロテスタント居住区よりもカトリック居住区のほうに壁画が多いように感じた。プロテスタント優位の社会だからなのか。当初は自分の足でいろいろと回って壁画を見るつもりだったのだが、語学学校にいるときに出会った日本人の方や、ベルファストのデパートで偶然であった日本人のご夫妻から自分の足で歩き回ることは非常に危険であること、危険区に入ってしまったら命の保障はできないこと、それでも自分で歩きたいならツアーに参加して様子をつかんでからもう一度行ったほうがよいこと、などいろいろ聞いていたのでまずは壁画を見るためのツアーに参加することにしたのである。話を聞いているときは「そんなに大袈裟に言わなくても。」と、密かに思っていたが実際に一歩横道を入ればとたんに雰囲気が変わることを身をもって知り、あながち嘘ではないのだと実感した。地元のタクシードライバーでさえ危険区を通るときはドアを全部ロックし、時には乗車拒否をすることもあるという。

 デリー/ロンドンデリーは城壁の町である。またここは現在の北アイルランド紛争のきっかけとなった1972年の「血の日曜日事件」がおきた場所でもある。城壁はプロテスタントの入植者によって作られ、合計3度にわたる包囲戦に耐えてきただけあって大変立派なものであった。町には4つのメインゲートがあり、その付近には大砲が設置されている。町の北側はカトリック地域でアイルランド国旗が掲げられ、アイルランドを代表するスーパーマーケットのDunnes Storeがあり、南のほうではピースラインが引かれ、ユニオンジャックが翻り、イギリスを代表するスーパーマーケットのMARKS&SPENSERがあった。人々の暮らしそのものが徹底的に区別されているのだと思った。

 インタビューに応じてくれたEquality CommissionのLynの話によると、雇用差別や教育における宗派差別は年々減少傾向にあるとはいえ、まだまだ問題は数多く残るという。Lynの所属するEquality Commissionでは差別を禁止する法律を作り、毎年その従業員におけるプロテスタントとカトリックの割合や新しく採用した人の宗派の割合などの細かい報告書の提出を求めている。そのことが差別撤廃の大きな契機になったといっていた。政府の強制力で今は雇用差別が徐々に減ってはいるが最終的には強制力なしで実現したいということである。また、近年ではプロテスタントやカトリックのほか、華僑やアジア系住民が増えていることから、それらに対する差別撤廃措置を講じる必要が出てきているということである。

全体的な成果

 最後に全体的な成果についてであるが、シンプルに話すことに慣れたことがあげられる。日本に居るときはやはり、英語を話そうとすると意気込んでしまい、頭の中でいろいろと文法を気にしながら文章を組み立てて話すことが多かった。しかし、そんな英語では何を言いたいのか、考えているのか伝わらないことがわかった。簡単な文法で、シンプルに話したほうがよほど意思疎通することがわかった。また、日本語ででさえも、交渉嫌いな自分であったが、自分が今何を不満に思っていて、そしてどうしたいのかをきちんと伝えなくてはならない状況にたびたび陥ったため、交渉することに慣れた。語学学校ではクラスの変更について、B&Bやホテルでは部屋の値段と変更について、タクシーの運転手との運賃交渉。黙って我慢しないで交渉してみる価値があることを身をもって知ったし、外国という知らない土地で開放的な気分になるせいか、わからないことや知りたいことは躊躇せず聞けるようになった。

 実際にBelfastで話を聞けたことは、とてもよい経験になったし、資料を沢山手に入れることもできたので非常に満足の行く結果になったと思う。壁画も考えていたよりも簡単にそして沢山見ることができたのでよかったと思う。

今回の活動についての感想

 実際に北アイルランドという紛争地を訪れることで、北アイルランド紛争に対する考え方が少し変わってきたと思う。文献をあたっているだけでは得られなかった情報や新しい取り組みについて知ることができたのは多くの収穫だったと思う。また、インタビューの中で一番印象に残っていることがある。私は以前本で、カトリックは美容師や販売員などの女性的な職業に多く就き、プロテスタントは逆にエンジニアや医者などの男性的な職業に多く就いていることを疑問に思いその理由を聞いてみた。その理由は、シンプルなものだった。女性的な職業は男性よりも下位の職業だからである。日本では男性の美容師もたくさんいるし、女医さんも増えているので、美容師や販売員が下位の仕事だとは思ったことはない。また、その仕事自体が下位の仕事だとも私は思わない。けれども、北アイルランドでは違うようだ。カトリックとプロテスタントの宗教差別の問題のほかに女性差別の問題も解消するべきではないかと強く感じた。また、Equality CommissionのLynは大変よい人でほかにもゼミ論の参考になるような団体を紹介してくれたり、資料をたくさんいただくことができて感謝の限りである。日本にある文献をあたっているときは98年のグッドフライデー合意をもって紛争は解決したと捉えられがちである。政府レベルでは合意がなされたかもしれないが、市民レベルではどうだろうか。彼らの確執は大変古いものであり、その確執を少しでも和らげて行く取り組みはこれからなのだ。市民レベルの合意がなされないかぎり、紛争は終わらないと思う。

今回の活動をどのように生かしていくか

 四年次に最終的に提出するゼミ論文に生かしたいと思う。北アイルランド紛争を知ってから、宗教紛争について興味を持つようになったので、他の地域で起こっている紛争と比較させ、グローバリズムとの関係を調べながら理解を深めていきたい。

 折角身につけた英語力はこのまま維持できるよう努力を怠らないようにする。ラジオ英会話を継続して聞いていこうと思う。

後輩達へのアドバイス

 法学部にしかないこのような貴重な奨学金制度は是非利用するべきだと思う。30万円という金額は大きいものだし、奨学金だからこそ思いきったこともできると思う。一人で全てを準備することは大変なように思えるけど、準備期間も楽しいものだし、よい経験になると思って頑張って欲しい。

その他

 情報収集は意外に時間もとり苦労する。特に私はインタビューできる団体を探すのに苦労した。最終的にニックス先生に相談して見つけた。自分ひとりで続けていたら結局見つからずに終わってしまったと思うので、大変ニックス先生に感謝している。自分だけでいろいろやってみることも大切だけれども、時には先生方の力を借りたほうがうまくいくこともあるので、そのときは力を借りてみるのもよいのではないかと思う。

 語学学校に行くことを考えている人はあらかじめ国別の生徒割合を聞いておいたほうがよい。その割合で大体どんな学校なのか判断できる。よく「日本人が誰もいないような小さい学校に行きたい。」という話を聞くが、もしそう思うなら逆に中規模程度以上の学校を選んだほうが良い。小さい学校は人数も少ないことから、クラスも少ないし、レベルも分かれていないことが多い。国別の人数制限などもってのほかである。

 また、ヨーロッパ圏に行くなら国際学生証かユースカードは絶対に持っていくべきである。様々なところで学生割引があるし、鉄道や長距離バスで移動するなら学割が効くのでなおさらである。パスポートに準ずる身分証明にもなる。私は滞在中に期限が切れていたことに気づき、慌てて日本から学生証をFAXしてもらい作り直した。物価の高いイギリスでは重宝した。

お問い合わせ

法学部

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