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法学部
【活動レポート】西村 奈穂 (2002年入学・法律学科)

活動データ

  • 法律英語を含む語学研修、イギリス司法制度の学習、イギリス裁判所見学
  • 2004年2月8日~3月2日(語学研修は2月9日~2月27日)
    イングランド ボーンマス (語学学校:Anglo Continental School)
  • 2003年度後期選考(英語分野)

活動日程

  • 2/8 09:20 成田空港より出発
    16:15 ロンドン・ヒースロー空港に到着
    21:00 バス、地下鉄、鉄道、タクシーを使いホームステイ先に到着 (※1)
  • 2/9 Anglo Continental School 初日
    08:45より1時間ほどのクラス分けテスト(※2)
    10:00~12:00 ボーンマスコーチツアー
    13:00 クラス発表、High Intermediate Course へ
    14:00 授業開始
  • 2/10~2/27(Mon-Fri)
    08:45-10:15  Structured English Language Tuition Class
    10:15-10:45  Morning Break
    10:45-12:15  Language Skills Development Class
    12:15-14:00  Lunch
    14:00-15:30  English for Legal Practice
  • 2/19 裁判傍聴(※裁判傍聴記参照)
  • 2/21 ウェールズ観光(カーディフに1泊) (※3)
  • 2/24 裁判傍聴(裁判傍聴記参照)
  • 2/28 ボーンマスを出発 コーチでロンドンへ(2泊)
  • 3/1  21:00 ロンドン・ヒースロー空港を出発
  • 3/2  20:30 成田空港到着

活動概要

 当初、ヒースローから地下鉄でウォータールー駅に向かい、そこから鉄道でボーンマス に行く予定であったが、なんとヒースロー駅が封鎖されており、代替輸送としてコーチ(大型バス)を利用して地下鉄アクトン駅まで行かなければならなかった。しかしこれはあとからわかった事情で、その時の私は必死で地下鉄の乗り場を探し回っていた。だがどの職員に聞いても、地上に出なさい、だのバスに乗りなさい、としか言わず(実際は封鎖について何か言っていたのかもしれないが、イギリス英語の独特のイントネーションに戸惑いあまり聞き取れなかった。)「いいや、私は地下鉄に乗りたいんだ。」「だから地上に出てバスに乗りなさい。」と不毛な会話を繰り返していた。そのうち事情が飲み込めてきて、空港到着から1時間ほどして、ようやくヒースローを出発することができた。

・ボーンマスにはこうした事情から到着が予定よりも大幅に遅れてしまったため、ホストマザーに電話連絡したところ、危ないからタクシーを使って来なさい、と言われた。余分なお金は全く持っていなかったので出来れば出費を控えたかったが、危ない、の一言がひっかかり結局タクシーに乗ることに。(後から級友に聞いたところ、最近韓国人の女子留学生が殺される事件があり、犯人は未だに捕まっていないとのことで、しかも現場はホームステイ先のごく近くの公園でこのときタクシーを使って本当に良かった、と後でしみじみ思った。)
・ホームステイ先に到着し、ホストマザーに部屋を案内してもらって愕然とした。部屋が狭く、机が無いのである。あるのは小さなベッドとテレビだけ。狭いのはともかく机が無いのには本当に驚いた。これでは昼下がりの主婦状態になるのは目に見えている!留学生を受け入れるのだから机はあるものと思い込み、ホームステイ先を決めるときに特に確認しなかった自分を深く反省した。

エントリーテストはListening・Grammar・Vocabularyの3section、計100問程度で、Grammarは驚くほど簡単だったがListeningは途中から泣きたくなるほど難しく(というよりも速かった)、後半10問以上は「全部C」戦法をとってしまった。Anglo Continental Schoolには、大きく分けてAdvanced・High‐Intermediate・Intermediate・Pre‐Intermediate・Elementallyの5つのクラスがあり(さらに細かく分けると13クラス)、私は当初Advanced Classを希望していたが、あまりの不出来に途方に暮れてしまった。
・コーチツアーのあとクラス発表があり、(と言ってもこのとき知らされたのはレベルではなく教室だけだった。)午後から法律英語コースを受けることに。

当初週末はボランティアをする予定で、ぎりぎりまでボランティアセンターと交渉していたが、結局ボランティア先と希望場所が合わずやむなく断念した。そのため休日の予定が全く無かったので思い立って旅行をすることに。行き先は決まっていなかったが、とりあえず旅行の用意だけしてボーンマス駅に。思い悩んだ末Englandとは別の国家であり、独自の言語を持つということにひかれ、Walesに決定した。鉄道で約3時間でWalesの首都カーディフに到着。駅に降り立った私は看板などが全て英語とWales語2つで表記されていることに気付き、想像していたよりも2つの言語が(少なくとも見た目は)全く異なることに感動した。しかし街そのものは他の都市と変わり映えなく、しかも異様にゴミが散乱していて、異国の風景を心のどこかで期待していた私は少なからずがっかりしてしまったのを覚えている。カーディフ城を見学後、Wales語が聞きたかったため街中をとりあえず歩き回った。時折英語以外の言語が聞こえるたびに振りかえっては確認したが、中近東などからの旅行者がほとんどであった。結局日中はWales語を聞くことができず、それならば、と夜はパブに行くことにした。パブならば地元の人間が集まり、うまくすればWales語の会話が聞けるかもしれないと考えたからだ。しかし残念なことにパブの中は英語だらけ。席を何度も移動しては耳をそばだてていたが英語以外は聞こえてこなかった。また、アジア人は私だけでなかなか会話に入れず、やっと話相手を見つけても、「Wales語をしゃべってくれ。」とはとても言い出せなかった。夜もついにWales語を聞く事はなく、意気消沈してB&Bに戻った。
 翌朝駅のホームで帰りの電車を待っていると、なにかトラブルがあったらしく、並んでいた客が一斉に動き出した。私もアナウンスが流れていることに気付き慌てて耳を傾けたが言っていることがさっぱりわからない。方向音痴に自信のある私は乗り換えなどといういう器用なまねが本当に苦手で、次に来るはずの電車が一番乗り換えが少なくてすむためどうしてもこれに乗りたかったのである。焦りに焦ってパニックになりかけたとき、ふと「Wales語だ・・・。」と気がついて興奮した。続けて英語のアナウンスがあったはずなのだが最後の最後でWales語を聞けた感動で聞き逃してしまい、結局事態を把握できず、乗り換えの回数を増やして違う電車に乗ることになってしまった。こうして乗り間違いの恐怖は倍増したが最終的に色々な体験ができ満足できる旅だった。

裁判傍聴記1

Bournemouth Crown and County Court
2004/02/19(Thu)  14:00開廷
Judge PRYOR
Trial(Part Heard)QC
T20037103
Hurle Stephen
Pearso Paul (弁護士2人と検察官の名前と思われる)
Cooper William
Court4
傍聴人:私を含め2人。
被告人は30代と思われる男性。審理の途中から聞いたため詳しい内容はわからなかったが、強盗の前科があり今回は再犯のよう。他にタバコの万引きもしたらしい。また“執行猶予”という単語も聞こえたのだが、どういう文脈で出てきたのかは理解できなかった。

裁判感想

非常にオープンな空間で、裁判特有の堅苦しさはあまりなかった。また裁判官・弁護士・検察官の言葉が明瞭でかつゆっくりなのには驚いた。これは陪審制度をとっているため一般の人にも理解できるように話す必要があるためらしいが、日本の法律家の早口で難解な弁論を聞いてきた私には感動ものだった。(だからといって理解できたわけでもないのだが。)裁判員制度を取り入れようとしている日本もこの点は見習わなければならないところだ。しかし全体として私の予備知識が不足していたため何が何だかわからないうちに裁判が終わってしまったというのが正直な感想である。まず検事と弁護人が3人とも裁判官に向かい合って一列に座っており、しかも皆同じ法衣とウィッグ(噂に名高いロココ調のかつらである)をつけていたので誰が弁護人かも最初のうちはわからなかった。そもそもウィッグを着けるのは判事だけと思い込んでいたせいもあって裁判官4人の合議制なのかとさえ思っていた。勉強を始めて2週間程経っていたので、もしかしたらある程度聞き取れるかもしれないと思った私の淡い期待は見事に崩れ去った。翌週にもう一度傍聴する機会があったのでとりあえず今回疑問に感じたことをまとめ先生に尋ねて出直す事に。

裁判外雑記

留学計画時には法律英語の習得に主眼を置き、裁判所には時間の都合のつく限り傍聴しに来ようと考えていたが、始まってみると裁判所の開廷時間が平日の10:00~16:00なのに対して、私の授業時間が8:45~15:30と決まってしまったため、先生の都合で急に午後の授業が休みとなったこの日は迷わず裁判所へ向かった。学校から自転車で40分ほどの郊外にBournemouth Crown and County Courtはあり、迷いながらも何とか自力で辿り着く。裁判所の外観を撮ってガードマンに怒られたり、(イギリスでは外観の撮影も禁止)金属探知ゲートのものものしさにびびって入り口の陰で右往左往したりもしたが、明るくフレンドリーなガードマンや職員に促され、なんとか目的の法廷へ。もうすぐ始まると職員に聞いたので入り口前のソファに腰掛けて待っていたが、10分も経つ頃にはもう始まっているのではないかと不安になってしまった。そのうちにベルが鳴り第四法廷に関してのアナウンス(非常に早口でなんと言ったかはわからなかった)が流れ、1人の男性が第四法廷に入って行った。私はしめた、と思い男性の後ろにくっついて法廷に入り、彼の近くに座った。すると、ウイッグをかぶった弁護士一同が目を見開いて私を振りかえり固まっている。わけがわからずにいると、そのうちの1人が「君は被告かい?」と大げさな身振りで尋ね、その瞬間法廷内に弁護士達の爆笑が響き渡った。どうやら被告席に座ってしまったらしいことに気付き慌てて否定し、傍聴したいのだ、と言うと、彼は傍聴席に案内してくれたが、私の慌て方に笑いが止まらなくなってしまったらしく、他の弁護士たちも開廷するまでひとしきり私をからかった。(このときは恥ずかしさで気付かなかったが、つまり私がついて行った男性は前科ありの強盗犯だったというわけだ。)“Guilty or not guilty?”とも聞かれたが今思うと被告の前でそんなジョークを言うなんてイギリスの法廷はかなりフランクであるようだ。

裁判傍聴記2

Bournemouth Crown and County Court
2004/02/24(Tue) 14:00開廷
Judge Jarvis
(法廷番号などのメモは紛失)
検察官1名
弁護士1名被告人:L(22歳の男性)
傍聴人6名(うち3人は被告の家族(父・母・姉??)と思われる)

起訴内容

assault(暴行)
sexual assault(婦女暴行)
bruised(傷害)
grievous bodily harm(重大な身体傷害)
theft(窃盗)
の5つの罪で起訴

裁判の流れ

  • 裁判官入廷
  • 検察による事実説明(Opening Speech)
    被告Lは恋人である女性M(19歳)が別れたいと言ったのに怒って深夜の路上でMに対して暴行を繰り返しMに傷害を負わせた。(窃盗に関しても説明があったが省略)
  • 被告人の主張
    grievous bodily harmについては認めるが他の罪責については否認。
  • 陪審員(12人)入廷 誓約
  • 検察による事実説明(陪審員に対して)
  • 検察側の証人A入廷(20代後半の女性)
    深夜何度も叫び声を聞き、家の窓から道路を横切って男に引きずられていく女性を目撃した。特に何もしなかった。
  • 検察による尋問
  • 弁護側による尋問
  • 検察側の証人B入廷(40代~50代の女性)
    車を運転していると道路脇のくさむらで倒れている女性と彼女に暴行を加えている男性を目撃した。車の中からどうしたのか尋ねると、男性は彼女は恋人だから問題ない、といい女性も何も言わなかった。車から降りて近付くと男性は逃げてしまった。女性に、病院に連れていくから車に乗りなさいと言うと、彼女はお父さんのところに連れていって、と言った。そうこうしているうちに誰が連絡したのか、パトカーが来た。
  • 検察による尋問
  • 弁護側による尋問
  • 弁護側弁論
    被告は傷害(grievous bodily harm)については罪を認めており、反省しているが故意はなかった。精神病院に通っていた。(心神耗弱と主張しているのか?)

裁判感想

 今回は法律英語コースの授業の一環として裁判を傍聴し、先生から用語の説明も受けることができたので、前回よりも格段にわかりやすかった。またこの日に審理が開始したものを選んだので、事実の概要が聞けたのも大きかった。検察は裁判官と陪審員のそれぞれに対して事実の概要を述べるが、陪審員は一般人のためこちらには日常的な表現で説明するため理解しやすいからだ。事件の感想としてはなんだか奇妙なかんじ、というのが正直なところで、女性は今までも何度も暴行を受けていたらしいがそれでも結局被告の元に戻ってしまうということを同じ女性として理解はできなかった。今回女性は怪我がひどく、また、被告と会うのが怖いようで出廷していなかったが、陪審員に配布された証拠写真を見ただけで(傍聴席から丸見えだった)暴行のひどさが生々しく伝わった。擦過傷のついた腕、青あざになっている腹部、腫れ上がった眼の周り・・・。こういったものを見なければいけないのも人々が陪審員になりたがらない理由の一つだ、との説明には納得してしまった。証人Aは事件に関わりたくないという姿勢がありありと出ていて、事件を目撃しても何もしなかったし、証人尋問のときも名前も住所も伏せていた。(しかし自宅から事件を目撃したためその重要性に鑑み最終的には住所を言わなくてはいけなかった。)加えて弁護士の反対尋問では、髪を掴んでいたと言ったり肩を掴んでいたと言ったりと証言が二転三転し、あまり良い印象を受けなかった。証人Bは反対に礼儀正しい女性でしっかり質問に答えていたように思う。弁護側弁論で傷害については認めているが故意はなかった、という意味がよくわからなかったが、grievous bodily harmはassault(暴行)の結果、傷害を負わせることだ、と説明されたので、脅すつもりで暴行は加えたが傷害するつもりはなかった、ということだろうかと思うが正確にはわからない。同行していた先生が「弁護士はbad caseを担当してしまったわね。勝てるわけがないわ。」と言ったのが印象的で、全くその通りだと思った。
 陪審員は12人でそれぞれ名前を呼ばれると返事をして席につき、一人ずつ、証拠だけで判断して評決を下すという旨の宣誓を読まされる。日本ではなじみがない制度だが、私が何より驚いたのは陪審員の服装や態度である。男性はほとんどがジーンズにトレーナーかポロシャツで女性も半数はかなりラフな格好をしていた。勿論全員ではないが、裁判中脚を組んでひじをついたり、背もたれにふんぞり返って貧乏ゆすりをしていたりと、日本では考えられない光景に思えた。私が被告なら彼らに評決は下してほしくないとさえ感じた。先生に尋ねたところ、陪審員というのは時間を拘束されるため、仕事が忙しいような知識階級はまず引き受けず、仕事がなく拒否事由のない貧乏人やフリーター、主婦、学生が結局陪審員となることが多く、自発的に参加しているわけではないのでどうしても裁判に対する意識が低いのだ、と言った。私は市民に開けた司法に少なからず憧れをもっており、陪審制にも否定的ではなかったが、問題点があるのも確かだと肌で感じた。この裁判の評決が出るのはこの週の金曜の予定だったが、電話で問い合わせたところ結局審理が長引き翌週に繰り越されたらしく、私の滞在中には間に合わなかったのが残念だが、実際の陪審制度を見学できたのはこの留学のもっとも大きな成果の一つだと思う。

活動の成果

授業について

 私のコース(Specialized Course)は8:45から15:30まで毎日45分の授業が6つあり、午前は会話のクラスが4つ、午後は法律英語のクラスが2つあり、会話のクラスはMs.Lindaの担当するStructured English Language TuitionとMs.Lindsayの担当するLanguage Skills Developmentに分かれていた。 Lindaのクラスでは基礎的な文法中心の会話に重点が置かれ、自分自身について語ったり指定された単語で物語を作ったりと、わりと気軽に受けられるものだった。Linda自身も発音が明瞭でゆっくりとしゃべる先生で私のレベルをよく理解してくれていたので、彼女とはあまり緊張せずに会話することができた。教科書の各ユニットが終わると30~40分ほどの小テストがあり、各単元の理解度がわかるようになっていた。しかしought to , should , have toの3択など、日本でならどれを入れても間違いにはならないような問題が多く、正直なところ答えに納得のいかないこともあった。この答えではいけないのか?と尋ねると、たいてい”Could be.”や“Not impossible.”といった答えが返ってきて最初のうちはもどかしく感じていたが、後半は、ネイティブにとってより自然なものを学んでいるのだと割りきることにした。
 Lindsayのクラスも基本的にはLindaのクラスと同様の内容であったが、さらに、より自然な会話ができるよう、informalではあるが日常的な表現や早口言葉を習ったり、発音の矯正を行ったりした。(例:Alaska=I’ll ask her や Wivdunit=We’ve done itなど)彼女の授業は「外国人の英語」ではなくよりネイティブのレベルに引き上げようとする工夫が取りこまれていて、文法には自信があるが会話はからきしの私には大変興味深いものだった。しかし、(だからこそ、かもしれないが)彼女の発音は典型的なイギリス英語で、流れるようでしかも囁くようにしゃべるものだから最初の1週間は何を言ってるのかわからない、どこをやっているのかわからない、何を聞かれているのかわからない、という状態が続き、クラス変えこそ考えなかったものの本気で落ち込んでしまった。
 午後の法律英語クラスではイギリスの法理念や司法制度、裁判の仕組み、基本的な法律用語を習い、民事・刑事事件のそれぞれについて実際の事件と裁判所の判決を読み、簡単な模擬裁判を行った。このクラスは冬期ということもあって生徒は私と同い年のブラジル人の女子生徒2人だけで、自然意見を求められることが多く、また、先生が一度しゃべり出すととまらず、質問の内容を勘違いしたまま答え続けることがよくある人だったので、相手の話をさえぎって自分の意見を言わなければいけない場面が多々あり、自ら発言する積極性も身に付けられた。結果としてこのクラスが一番会話能力の向上に役立ったように思う。しかし初日に自国の司法制度について説明を求められたときは軽いパニック症状に陥り、しかももう一人の生徒、マリアナが話している内容さえ聞き取れず、結局その日は2人しかいないにも関わらずほとんど発言することができず、自分がこのクラスにいるのは場違いなのではないか、と落ちこんだ。(今考えると、日本では弁護士にはどうやってなるの?とか何年訓練期間があるの?といった簡単な質問だったように思うが、そのときは本当に訳がわからなかった。またマリアナの言葉はたしかに流暢であったがPortuguese訛りがひどく、聞き取れなかったのはそのためだと後に気付いた。)

クラスについて

 午前のクラスはレベル別に分かれており、4クラスとも生徒の入れ替わりはなかった。国籍別に見ると日本人が私を含め2人、韓国人3(その内1人は1週目にコースを終了し帰国した。)台湾人2、エクアドル人2、中国人、クエート人、フランス人、ブラジル人、メキシコ人がそれぞれ1人ずつの15人程度のクラスだった(しかしいつも何人かは欠席していたので実際は10人程度)。こうして見ると多国籍でバランスの取れたクラスに思えるが、実際にアジア人が半数を占め、しかも出席率が欧米からの生徒よりも良かったので事実上アジア人クラスのような印象もあった。しかし皆何ヶ月も留学しているような人達ばかりで、途中からこのクラスに参加した私は当初周りのレベルに圧倒されるばかりであった。授業は隣の生徒とペアになってdiscussionすることが多く、まずdiscussionする内容すら把握できない私は”Tell your partner~“と先生が指示するたびに胃が痛くなる思いをした。特に欧米の生徒は耳が慣れているため先生の指示をよく理解していて流暢にしゃべるが、自国語訛りがひどい上にときに文法を無視して話すため、その流暢さが仇となり、ペアを組む時はかえって苦労した。だが周りのレベルが高かったおかげで、追いつこうと必死になり、最初の1週間の能力向上(特にリスニング)はめざましかったように思う。逆にある程度コミュニケーションが取れるようになってからは気が緩んでしまい、先生の言っていることを聞き流してしまうようなこともあり、その点については深く深く反省している。
 文法や語彙については他の生徒に比べて劣るということは全くなく、むしろ私のほうが高かったようにさえ思う。ただ彼らは単語を知らなくてもそれを簡単な言葉で説明するスキルをもっており、逆に私は難しい言葉をそのまま訳そうとして自滅していた。その差がそのままコミュニケーションツールとしての英語能力の差になっていたように思う。同じクラスのもう1人の日本人もこのスキルに長けていて、ごくごく簡単な単語で立派にコミュニケーションをとっていたし、説明できないことはジェスチャーや例をあげてとにかく疑問を残さないようにしていた。彼にアドバイスを求めたとき、「難しく考えすぎ。」の一言で一蹴されてしまったが、実はこのとき目からうろこが落ちた心持になり、それ以降は簡単な言葉で出来るだけ多くのことを話すように心がけ、実際に会話能力の向上につながったように思う。
 またこのクラスは上述の9カ国からの生徒で構成されており国民性というか「お国柄」のようなものを垣間見ることができたように思う。韓国人や台湾人の行動や考え方などは日本人にとって理解しやすいものだと感じた。人当たりがよく、他者との関係を割りと配慮する印象を受けたがそれが逆に本音を言わないような印象にもつながった。それに対して中南米の生徒は「自分」というものを譲らないような正直さがあって、おもしろくなければ愛想笑いをするようなことは絶対なかったし、逆におもしろいと感じれば、日本人であれば不謹慎と感じるような場面でも大声で笑った。だが今でこそ「正直」と評することができるが、最初のうちはこちらが笑顔で挨拶をしても睨まれて(と感じた)“Bye.”とだけ返されることに、何を怒っているんだろうという戸惑いと見下されているような憤りを感じ、自然アジア人と会話することが多くなってしまった。しかし負けず嫌いな私の勉強のモチベーションにもなったし、また、後に仲良くなると怒っているわけではないということも理解でき、こちらも言いたいことを言える気安さを感じるようになりもっと早くから交流すべきだったと思った。それとは対照的に、感覚的にわかっているつもりになっていた韓国人と、ちょっとした意識の違いから気まずくなり、後半はほとんどしゃべることがなくなってしまった、ということもあった。いずれにしろ国民性の理解が他国の人間との関係において潤滑油になることは間違いないようだ。

ホームステイについて

 私のホームステイ先はペルー人のホストマザーと英国人のホストファザー、それに3人の子供がいる家庭で、もう1人カタールからの留学生を受け入れていたが、彼はロンドンにもホストファミリーを持ち、週の半分以上をロンドンで過ごしているらしくほとんど会うことはなかった。ホストマザーはあくまでビジネスとして留学生を受け入れているようで、干渉しないかわりに交流もあまりなかった。通学は何でするのか、と聞かれたので週14ポンドで自転車をレンタルする、と答えると、「それは高いわね。うちに自転車があるからそれを使っていいわ。」と言ってくれた。お金に余裕のなかった私は、渡りに舟!と喜んだが、最後に付け加えられた「週10ポンドでいいわ。」というマザーの一言でイギリスのホームステイというものを悟った気がした。子供達は3・5・7歳の男の子でマザーはいつも忙しそうだったのでできることは朝食や洗濯など全て自分でした。マザーはビジネスとして割りきっていたので、話に聞くようなベビーシッターをさせられたとか(自分のこと以外で)家事をやらされた、といったことは全くなかった。しかし子供達には事情がわからず、私を遊び相手としか見ていなかったようで、よく駆り出されてはサッカーやポケモンカードの相手をした。私は子供が好きなので遊び相手をすることはむしろ楽しかったのだが、私の部屋を引っかき回して荷物(主にお菓子)を持っていくようになったときは流石に怒って、部屋に勝手に入らないように注意した。しかし「ここはお前の家じゃないだろう!」と逆に怒られて、初めてホームステイ先を間違えたかもしれないと思った。また、遊び相手をしていても事故があったときにきちんと説明できる英語力が必要であり、(実際に私のベッドから子供が落ち、私が足を引っ張って落としたのだと彼が言ったことで、ちょっとした騒ぎになってしまったことがあった。)子供が好き、という理由だけで安易にホームステイ先を決めるべきではないと今は思う。また、机がなかったのでベッドの上で勉強するしかなく、朝、ペンを握り締めたまま目が覚めることもあり、勉強する環境としてはいいとは言えなかったかもしれない。しかし子供達は簡単な単語しか使わずに立派に会話してのけるので、彼らと会話することは文章の基本に立ち返ることができるという点で有益と感じた。

今回の活動についての感想

 やはり3週間という限られた時間では、留学前に思い描いていた飛躍的な語学能力の向上は難しかった。しかし自分の現時点でのレベル・弱点を知るには充分な時間であった。知識の点で言えば日本人学生の英語能力は他の非英語圏の国の学生に劣ることは決してなく、むしろ勝っているということをはっきりと確認できるからである。つまりこの知識を口に乗せることさえできれば、あるいは耳からの情報を正しく知識と結びつけることさえできれば、英語をコミュニケーションツールとすることに何の問題もなくなるのだ、ということがわかり、有効な学習方法がみえてくるのである。先の見えない学習には限界がある。次の段階に進むのに何が必要かを自分なりに感じることができたのはこの研修の一つの成果あり、その機会に恵まれたことを大変嬉しく思う。

今回の活動をどのように自分の将来に生かしていくか

 私は将来法曹の道に進みたいと考えているが、抽象的な理想像はあっても、はっきり言って暗中模索の状態である。このような状態の中で、この研修のこの経験がこういったことに役立つ、ということをはっきりということはできない。しかしこの研修中にイギリスの裁判を見学し実際に陪審制度の長所と短所を感じることができたことで、日本の裁判制度に必要なものについてより深い考察ができるようになると思うし、国民性・多様性を理解することは、在日外国人の関係する犯罪や国外で犯罪に巻き込まれる日本人が急増する中で、日常生活においてのみならず彼らを法的に救済する際に重要な役割を果たすだろうということも実感した。また情報収集はこれからの全てに通じて大切なことであることも身をもって理解した。情報の幅は選択の幅であり、有益で正しい選択をするには自ら情報を収集することがなにより大切なのである。これからいろいろな選択を迫られる時期に入ると思うが、この研修中に身についた能動性・積極性は絶対に財産になると思う。

後輩達へのアドバイス

 私はぎりぎりまで応募を悩んでいて、実際に学校などを調べ始めたのは締め切りの4日前で、この4日間はパソコンにかじりつき情報を集め、ひたすらアプリケーションフォームを書きなおし空白を埋める作業に徹しました。相談した先輩からは最低2週間は必要だから今回は諦めたほうがいいと言われ、それでも、と応募を決意した後も何度もくじけそうになりました。ただこの短い期間でも目的や動機がしっかりしていれば評価されるアプリケーションフォームを書くことは不可能ではないと思います。私の場合は法律英語コースのあるイギリスの学校と最初から決めていたので、条件に合う学校を探すのは大変でしたが、探した学校から絞り込んで決定するのは割と楽に出来ました。私の計画自体は特に目を引くものではなかったと思うし、ましてや学校の成績は全く加味されるような出来ではありませんでした。それでも今回このような機会を与えてもらえたのは、自己PRによるところが大きかったのかな、と考えています。将来何になりたいのか、どうしてそう考えるようになったのか、それがこの留学にどう関係してくるのか、を自分なりに具体的に示すことが出来れば先生方はチャンスを与えてくれると思います。是非是非皆さんに利用して欲しいと思います。

その他

 この奨学金の条件の一つは、全て自分でアレンジし代理店などを通さないことであるが、情報収集のための代理店利用は構わないと思う。学校にパンフレットを請求したり、問い合わせをしたりしても、個人では後回しにされるのか、かなり回答が遅くなったりすることもあった。実際にそれであきらめた学校もいくつかあった。もちろん時間があれば話は別だが、web上で無料で学校を紹介しているサイトはかなり役立つと思う。また観光用のガイドブックは日常生活にも役立つ情報がたくさんあり、倹約にも一役買った。
 今回滞在先にはイギリスを選んだが、語学に主眼をおくのならば、他の国をお勧めする。私たちが学習してきたのはアメリカ英語で、短期間の留学ではイギリス英語に慣れるところから始めなければならず、時間を有効に活用して語学を習得したい人には不向きと思うからだ。また物価が高いので、30万で長期の滞在は難しい。私はイギリスの裁判を傍聴するという計画は譲れなかったので、授業料の高さは承知の上でイギリスを選んだが、語学習得において時間は重要であることを痛感し、他の国にしてでも滞在期間を長くすれば良かったとおもったことも少なくなかった。いずれにしろ何に主眼を置くのかじっくり考え、慎重に決めるべきだと思う。

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