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法学部
【活動レポート】佐藤 浩史 (法律学科4年)

「やる気応援奨学金」リポート(7) ロンドンでの金融インターン 国際市場のダイナミクス体感

国際金融インターンシップに至るまで

今年度、総合講座「国際金融証券市場と法」が開設され、私は第1期生として履修している。そしてこの授業の一環として、2004年8月28日から9月12日までおよそ2週間、ロンドンで金融インターンシップをする機会に恵まれた。私がこのインターンシップを通じて得たものは膨大である。今回は国際金融の個々の論点ではなく、大学を離れ、ロンドンという場所で、私がいったい何を学ぶことが出来たか報告しようと思う。
この講座は3つのステップから構成されている。前期に金融に関する基礎理論を授業で学び、夏休みを利用して国内や海外でのインターンシップを行い、後期に研究発表をするという形である。国際法の山内惟介教授を中心に、大和総研の顧問でもある雁金利男兼任講師を始め、実際に証券会社で働いていらっしゃる方々をゲストスピーカーとしてお招きして、実務と理論の両側面から、前期いっぱい授業は進められた。
こうして金融についての基礎トレーニングを積んだ後、夏休み前半に国内インターンシップを行った。大和証券の店頭見学、債券のディーリングルーム見学、大和総研でのマーケットリサーチ、東京証券取引所や日本証券業協会、JASDAQ、さまざまな上場会社などを見て回り、その場で質疑応答や相手側企業との意見交換をさせていただいた。
そして後半は海外インターンシップである。インターンシップ先は実習生に任されており、各々が金融の実務を見てくることになっている。引き続き日本国内も良し、上海、シンガポール、そしてロンドンがあり、私は最も発達している市場を見たかったため、雁金先生や仲間と別れて単身ロンドンへ向かうことにした。海外研修の資金的バックアップとして、法学部の「やる気応援奨学金」制度にまたもやお世話になった。
ここで「やる気応援奨学金」について簡単に触れておきたい。私が1年生の冬にこの制度が開始され、私は次の年の夏に応募した。まず受け入れ先の選定、そして交渉を始め、その後自分の実習先、プロジェクト、ホームステイ先などの情報を含めたエントリーシートの作成、英語による面接、アドバイスを経て奨学金の獲得にこぎ着けた。
忘れもしない、あの夏の私のテーマは、「オハイオ州でのチーズ作りインターンシップ」というもので、「オハイオ州で1番おいしいチーズを作る」というやる気が認められた私は、現地工場で、日々大好きなチーズ作りにいそしんだものだ。以来、私は現場で働く体験を通して学ぶ魅力に取りつかれた。昨年度は東京都庁と八王子市役所で行政を、そして今年の夏の国際金融へと歩んできたところである。
インターンシップ。最前線で働くプロの教えをじかに受け、アイデアの必要性、チームワークの重要性、責任感、成就感、厳しさと温かい人間的交流を肌で学ぶことの出来る喜びは、快適な大学の中に受け身でいては、決して味わうことは出来ない。

ロンドンでのインターンシップ

ロンドンでのインターンシップの中身は大まかにいうと、大和証券SMBCロンドン支店での研修、日本銀行ロンドン事務所、国際協力銀行ロンドン支店、イングランド銀行(イギリスの中央銀行)における職員へのインタビューを内容とするものだった。
大和証券SMBC以外は、自分でアポイントを取り付けたのだが、予想以上に大変だった。多忙極まる企業は、得体の知れない大学生に付き合うような暇はないのである。無視されたり断られたりした企業も数え切れない。多方面にメールを出し、返信があれば御の字といった努力を続け、何とか上記の所でインターンシップが出来ることになった。感謝、感謝である。
ではロンドンでのインターンシップの具体的な話に入ることにしよう。イギリスは今年の初めから非常に景気が良く、金融街シティーも大変活気があった。金融街シティーの玄関口は地下鉄Central LineのBank駅。駅名からも明白なように、やたらと銀行が多い。駅を出ると、まるで城壁のようなイングランド銀行が突如出現する。なお、併設のイングランド銀行博物館で、時価1600万円の金塊を持たせてもらった私は、まさに夢のような一瞬を体験した。
シティーは、駅から南東に伸びるロンバード街を中心に実に多くの金融機関が集まっており、私が訪れた金融機関も御多分に漏れずこのBank駅周辺に固まっていた。ロンバード街は、その昔、ニューヨークのウォール街が覇権を握るまでは、世界の金融の中心だった場所である。観光客は見向きもしていない銀行の窓口や、メリルリンチの本社をカメラに収めたりして、私は、ロンドン特有の朝の霧の中、だれにも邪魔されず1人で感慨に浸った。
まず手始めに、日本銀行ロンドン事務所を訪れた。ロンドンは金融の中心地である。さぞや大勢の人が働いているだろうと思っていたが、実際には、日本からの派遣職員3人に、現地採用の方が4人の総勢7人のこぢんまりとしたオフィスだった。彼らの仕事は主に最新情報収集と日本の金融機関との連絡会議、日本銀行とイングランド銀行との調整だった。ここでロンドンの基本的な金融情報と、ロンドン市場の特性についてインタビューをさせていただいた。

次に訪れたのはイングランド銀行である。イギリスの中央銀行政策に関して当事者から話を伺い、現在不況に陥ってさまざまな策を講じている日銀の政策と、好景気の中不動産の異常なまでの値上がりに対して関心を持つイングランド銀行の政策の違いについて実感がわいた。
3番目に訪問した国際協力銀行ロンドン支店。ここも先述の日本銀行と同じくらいの規模だったが、政府系金融機関が現在改革の最中にあることを踏まえつつ、ODA政策や国際貢献に対して日本が担う役割、そしてその支援のための資金調達について意識を深めることが出来た。
さて最後は、特に時間を割いて取り組んだ大和証券SMBCロンドン支店での研修である。私はここで、実に10人の方と面会し、お1人ずつとの意見交換により、証券業務についてはもちろん、海外支店ならではの取引、ホールセール取引(企業相手の取引)における日系証券会社と外国の証券会社の違いなど、さまざまなトピックについて尽きることのない話題で議論が白熱した。
中でも、私が注目した一つのトピックについて述べたい。それはEU-Directiveという企業会計の問題だった。EU(現在25カ国で構成され、当然イギリスも含む)は、国際会計基準を導入しているが、これに関して、EU内の証券取引所に上場している企業は国際会計基準に沿った情報開示をしなければならないというものである。
これはIR(Investor Relations投資情報の開示)の一環であり、投資家が企業を評価判断する際に、比較したい企業の会計基準がそろっていた方がいい。
しかし、日系企業にとっては大変な負担である。なぜなら日本の会計基準と国際会計基準が違うからだ。つまり日本での開示とEU内での開示の2本立てで財務諸表を作成しなければならず、一説によると、数億円規模の負担増になるという。
一方、アメリカの会計基準US-Garpは、国際会計基準とほとんど同じなので、ダメージは極めて少ない。このままでは日系企業の競争力が衰える恐れもあり、日本を含むアジア圏は特にこの問題に対し神経質である。現在、金融庁や日本経団連を中心にEUとの調整が始まっているが、なかなか難航している様子である。
これについて、イギリスのエコノミストによれば、やはり最終的には世界のスタンダードを作るべきであり、投資家の保護は企業にとっても重要課題であるとのこと。金融の国際化がますます進み、各所でさまざまな摩擦も起こっている。しかし、厳しい現実を直視する彼らの目には、金融の発展のため、アイデアを次々生み出そうとするパワーが宿っているように見えた。
私が今回ロンドン行きを選んだ目的は、日本とロンドンの金融の相違点を探ることであるが、もう1つの課題として、なぜロンドンが金融の舞台で過去現在を通じ、常に強大な地位を保つことが出来たのか、またほかのヨーロッパの市場と比べてスケールが大きいのかということを調べたいからだった。この疑問は今回の訪問でかなり解決されることとなった。その理由は4つ考えられる。
1つ目は、世界の公用語が英語であり、ビジネスでも英語が欠かせないこと。これは、東京市場が日本語を使用し、日本語を駆使出来ない人は働くこともままならない現実と比較してかなり大きな利点である。
2つ目は、ほかの先進諸国の市場に比べると規制が緩いことである。ロンドンは事後規制が多く、ベンチャーなどが初期のころから証券市場に参入して資金調達が出来る起業に優しい規制方法になっている。
3つ目は、経済規模に合わせた労働力が容易に調達出来ることである。イギリスでは、労働組合が強くなく再雇用マーケットが充実し、首も切りやすく、かつ、雇いやすい。これはアメリカも同様でアングロサクソンモデルと呼ばれる。これゆえにイギリスの企業について日本の企業と比べて次のようなことがいえそうだ。労働者は、企業に対する忠誠心が弱い。事業家は、事業の拡大や縮小が容易に出来る。これは賛否両論あるところだろう。
4つ目は、金融の中心地としての伝統経験があること。これらを越える大きな魅力がなければ、ロンドンに取って代わることは不可能である。
以上4つの理由が、ロンドン市場を今でもインターナショナルマーケットにしていると、私は納得した。

ロンドンでの生活

インターンシップの空きを利用し、寸暇を惜しんで、世界屈指の観光地であるロンドンを散策してみた。大英博物館、バッキンガム宮殿、ロンドン橋、ピカデリー広場、トラファルガースクエア、グリニッジ天文台……。今回はもちろんインターンシップが目的であり、残念ながらこれ以上回る時間はなかったが、どこもかしこも素晴らしかった。
そして、もう1つ自信を持っていおう。ロンドンは文化活動が盛んであり、芸術に興味がある人々にとって天国であると。私は、幼いころから音楽なしでは生きられない。ロンドンに着いた翌日、欲望抑え難く、一流ホールでのコンサートを聴いた。ムソルグスキーの「展覧会の絵」を選んだのだが、チケット代が800円だというので、1けた間違えていないかとこの目を疑った。

ただ、たっぷりと堪能した後ホステルに帰る道は真っ暗、人っ子1人いない道で、たっぷりとスリルまで味わうことになったことを、白状しておかねばならないが。
また、ロンドンは都心部でも広く美しい公園が多く、観光パンフで有名な(?)「水着姿で日光浴をする人々の図」がどこでも見られた。オゾンホールの拡大と紫外線による皮膚がんの危険性を学習したはずの私だが、あまりにも多くの人が上半身裸でリラックスしており、影響されやすい私は、やはり自分でも試してみた。これもインターンシップといえるかも知れない。実にいやし効果抜群で、癖になりそうだ。

奨学金を頂いたとはいえ、私の財布は依然として超緊縮予算を要求していたため、航空券はソウル経由、宿泊はユースホステルを選んだ。「アスターホステルロンドンハイドパーク」の18人部屋に寝泊まりする羽目になったが、幸いかな、おかげで世界中から来たチープな旅行者とコミュニケーションを取ることが出来、滞在中に22歳のバースデーを迎えた祝いのばか騒ぎもして、大変楽しかった。
観光に来ている若者が多い中、朝早くからスーツに身を包んで、薄汚いホステルから金融街シティーに向かう私のスタイルは異様に映ったことだろう。(しかし、みんな応援してくれた。)

終わりに

インターンシップは実に多くの御指導と善意に支えられていることを再確認し、自分のちっぽけな視野が、インターンシップを通して広がるのを実感した。この1年、私のオハイオの祖父ともいえるチーズ工場長ハンスの急死、ロンドン滞在中には、実の祖父の緊急手術などさまざまな非常事態に遭遇したが、今、世界観、職業観、使命感が変化していった自分を振り返っている。
今回のインターンが成果を上げられたのは、山内惟介教授、雁金利男兼任講師を始め、大和証券、日本銀行、国際協力銀行、イングランド銀行、大和証券SMBCロンドン支店、大和総研ヨーロッパの皆さんのおかげです。本当にお世話になりました。この場を借りてお礼を申し上げます。ありがとうございました。

草のみどり 181号掲載(2004年12月号)

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