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法学部
【活動レポート】米村 麻利枝 (法律学科5年)

「やる気応援奨学金」リポート(21) OHH!CANADA!!(上) 多人種・多文化圏で共存探る

はじめに

私はこの度、法学部の「やる気応援奨学金長期海外部門」の御支援を頂き、カナダ留学を実現させることが出来ました。この貴重な体験を、将来留学を希望する人やまだ迷っている人に少しでも役に立つように伝えることが出来れば幸いです。カナダを留学先として選んだ理由は色々あるのですが、1番の理由はこの国の多人種・多文化にひかれたことです。3年次の専門ゼミで多人種国家の行政問題を専攻していましたが、そのゼミ活動を通して、自分も多文化の中で生活してみたいと思ったことが切っ掛けでした。

たまには友人とダウンタウンで

そして2番目の理由は、カナダの治安の良さです。私は今、カナダ東海岸New Brunswick(NB)州にある、St.Thomas University(STU)で留学生活を送っています。ここに来てちょうど5カ月がたちましたが、ここで暮らす時間が長くなるほど、この町がとても安全な場所であると実感出来ます。当初は信じられませんでしたが、女性が夜1人で外を歩くことも珍しくありません。

移民の国カナダ

私の住んでいる所は、州都であるフレデリクトン(Fredericton)という町なのですが、とても静かな場所で都市としてはあまり発展しているとはいえません。日本に当てはめると、過疎地といったところでしょうか。NB州全体があまり経済的に発展しておらず、カナダ全体で最も収入が低く、赤字の州として有名です。
けれど、高層ビルのような大きな建物が一切なく町全体を見渡すことが出来、白い雪ですっぽり覆われた町は本当に奇麗です。今年は暖冬らしく、想像していたよりもずっと暖かく、まるで日本の冬のようです。それでもたまにものすごく寒くなることがあり、氷点下20℃を下回るともう寒過ぎて到底外出など出来ません。風が氷のように冷たく、呼吸するのも大変に思える寒さなのです。
カナダは移民の国としてよく知られ、アジア人を筆頭として、多くの非白色系の人々が住んでいます。大都市トロントでは、全人口の半分が非白色人といわれています。しかし、移民の多くはトロントやバンクーバーなどの大都市に住み、私の住むフレデリクトンでは、ほとんどが白色系の人々です。異文化に対しての教育が徹底されているためか、留学生に対してとてもオープンで親切に接してくれます。

誕生日会を留学生仲間と過ごす

カナダは移民の国として知られる以前に、英語圏・仏語圏の2つの言語圏からなる国でした。それは現在も色濃く残っており、カナダ東部には仏語を第1言語とする人々が多く住んでいます。
公用語として英語・仏語両方が認められており、すべての看板や商品などが両方の言語で表示されています。カナダに来た当初は正直まどろっこしく感じました。例えばスーパーなどで売っている商品を見る際に、すべてに英仏両方の言語が小さく表記されており、とてもごちゃごちゃした印象で、自分が欲しい物を探すのに苦労した覚えがあります。
お互いの文化を尊重し合うということは、そのような小さな不便を多少なりとも抱え込むことでもあるのだなと実感しました。

寮生活

次に、私の大学生活を紹介していきたいと思います。大学には5つの寮があり、うち3つは校内に設置されています。ちなみに私は校内にある寮に住んでいるので、教室や食堂がとても近くて助かっています。私の住む寮以外はすべて男女共同の寮です。日本ではとても考えられないことではないでしょうか。全ての建物が24時間暖房完備なので、多くの学生がTシャツにズボンはパジャマといったラフな格好で生活しており、時には授業までパジャマ姿で来る学生もいます。それに対して教授が何かを言うことはほとんどなく、学生の生活態度に干渉することはまれなようです。
各寮には、「プロクター」と呼ばれる監督官が6人ほどいます。このプロクターは、学生(主に上級生)の中から選ばれ、寮の規律を守るために設けられているようです。プロクターの役目は大きく分けて2つあり、1つは寮の規則を寮生が順守しているかどうかの見張りで、もう1つはルームメート間でいさかいが起こった際の仲裁です。初めて集団生活をする人が多く、もともとの生活習慣も異なるので、ルームメート間の問題はよく起こります。
私は女子寮にルームメートと一緒に住んでおり、今のところ問題なく仲良くやっていますが、部屋はお世辞にも広いとはいえず、プライベート空間は存在しないに等しいのです。畳8畳分の広さの部屋に左右対称に机・ベッド・洋服棚が設置されており、間仕切りがなく何もかも丸見えです。唯一プライベート空間を感じるのは、自分の机に向かっている時だけです。こういうことが嫌で退寮する学生もしばしばいます。
私がとても助かる寮規則の1つに、クワイエットアワー(Quiet Hour)というものがあります。これは、平日の夜9時から翌朝10時までステレオなど大音量を出すことが禁止され、もし規則を破れば警告、そして罰金というシステムになっています。特にテスト前は規則が強化され、廊下で話すことすら禁止されます。少し厳し過ぎるようにも感じますが、このおかげで自室で集中して勉強が出来るのです。
留学生活で寮のほかの部屋から聞こえてくる音楽などの騒音に悩まされることがよくあると聞いていたのですが、ここではそういうことは一切なく、意外なほど快適に暮らすことが出来ていることに自分でも驚いています。ただ、寮に入る以前の習慣が抜け切れずにうっかりこの規則を忘れてしまう人がいるのも確かで、友達の中には既に罰金を200ドル払っている人もいます。
寮には、1、2年生のほとんどが住んでいて、寮企画イベントが数多くあります。それは寮対抗であったり、寮内での企画であったりとさまざまなのですが、最低月に1回はイベントがあります。思い出に残る最初のイベントは、学校が始まる前の1週間にわたって開催された、“Welcome Week”と呼ばれるものです。これは、新入生が少しでも早く大学に慣れるようにと上級生が企画してくれたイベントです。
規模も費用も大々的で、そのイベントに参加するために専用のグッズを購入して装着しなければなりません。この1週間の間に、寮対抗の応援合戦や、“International Food Fair”、また反エイズ運動を町中で繰り広げるなど、私自身色々なことを経験しました。また、イースターやクリスマスなどの祭日には、寮でプレゼント交換をしたりして、まるで高校時代に戻ったようでした。
食生活はすべて食堂やカフェテリアで済ませるようになっています。寮に住むすべての学生に専用の学生証が与えられ、そこから食べた分だけバーコード式で引かれていきます。寮にはキッチンが併設されておらず、基本的に自炊は不可とされています。ただし、電子レンジは使用出来るので、その範囲内で料理をする人もいます。カフェテリアの食事は洋風、中華など種類に富んでいて飽きることはないのですが、栄養面では野菜が少ないなどやはり偏りが感じられます。ベジタリアンの人も意外に多く、それはカフェでも浸透しています。例えば、あらかじめ彼ら用の食事が用意されてあったり、何か御飯を頼む際にも、野菜と肉を入れるかどうか必ず確認されます。
少し話がそれますが、ベジタリアンに限らず、ゲイやレズビアンもオープンに受け入れられている印象を受けました。これは他文化を尊重するように、個人のプライベートを積極的に尊重してるのかなと感じました。いずれも日本にはまだまだ浸透していないので、新鮮な驚きを感じました。

入学式の様子

ところで、カナダのスポーツといえば1番にアイスホッケーが挙げられると思います。日本ではあまり人気がありませんが、こちらではほとんどの学生が多かれ少なかれアイスホッケー経験者です。私はここに来てアイスホッケーの面白さにすっかり取りつかれてしまいました。
アイスホッケーは体当たりのスポーツで、試合中に乱闘が頻繁に起きます。カナダ人は体格の大きい人が多く、その大きな体格で繰り広げられるリンク上での戦いは本当に圧巻です。大学の周りに住む人々も大学対抗試合によく応援に来るなど、町全体の楽しみの1つになっているようです。

学校の様子

さて学業の方はというと、私は前期(9~12月)に4つの教科を履修しました。私が多く取っているのは“Political Science”という学部の科目なのですが、日本でいうと政治学部に似ているのではないでしょうか。日本でいう法学部、経済学部などの専攻は3年次で決めることが出来、最初の1、2年間は文系理系問わず全学部の科目を自由に取ることが出来ます。私の大学では、犯罪学と老人学が有名で、どちらも日本になじみのない科目だと思います。

雪の中友達と雪遊びを楽しむ

またここの大学の特色は、他大学で履修した単位も卒業単位として認められることです。私の大学から歩いて5分の所にUniversity of New Brunswick(UNB)という大学があります。大まかにUNBは理系、私の大学STUは文系として位置付けられ、お互いの大学にない科目を履修するために、多くの学生が大学間を行き来しています。そしてそこで得られた単位は、自分の大学の卒業単位として認められるというわけです。
ほかにも図書館や体育館などが共有施設とされています。
クラスは日本のように週1回ではなく、1週間に同じクラスが2~3回あり、1クラスは平均20~30人で構成されています。1クラスの規模がとても小さいので、授業中は学生から積極的に質問が投げ掛けられます。積極的というよりは、疑問に感じたらごく自然にその場で質問してみる、といった方が正しいかも知れません。そこは日本とは少し異なるところだなと感じました。
ただし、ディスカッションというほどではなく、授業はレクチャー方式で進められていきます。

チューター制度とライティングセンター

授業に対する学校側のサポートはとても優れている印象を受けました。学生が学ぶための場所という学校側の意識が高く、学生が授業に付いていけなくならないよう、それを防ぐためのサポートが充実しています。
幾つか挙げられる中の1つに、「チューター制度」があります。これは個人家庭教師のようなもので、3、4年生などの上級生が家庭教師として学校から雇われ、学生はそれを週に2時間無料で利用出来ます。英語圏外の留学生のように語学にハンディがある場合など、最大4時間まで延長することが出来ます。
私はこの制度を前期に利用することで、授業に遅れることもなく、また英語のスキルも向上させることが出来ました。本当に利用価値があると感じたシステムです。このほかに「ライティングセンター」があります。こちらではリポート提出の機会が多くあって、上級生が、文の構成からスペルチェックまでくまなく添削してくれるというシステムです。やはり英語のエッセイを書く時のスタイルはある程度決まっているようで、いかにシンプルに書くかを求められました。
驚いたのは、このシステムを利用する学生が、留学生にとどまらずカナダ人にも多く見られたということです。特に試験前は、リポート提出と試験勉強が重なることが多くあるので、予約が出来ないこともありました。

「カナダの政治」の履修とそこから見るカナダ

私の専攻科目の話に戻りますが、前期で取った科目の中で1番興味深かったのが「カナダの政治」です。この授業は現在の政治だけを見るのではなく、カナダ憲法の視点から政治を見ていきます。
どこの国もそうだと思いますが、憲法はその国の歴史と密接につながっており、カナダも御多分に漏れず、英語圏と仏語圏の衝突の歴史を経て憲法が作られました。そのため、他文化とどう共存し、妥協していくかという姿勢が憲法にも如実に表れています。カナダは1つの国というよりは、英語圏、仏語圏の2つの文化圏が1つの大きな枠の中で別個に存在しているような印象を受けました。
また近年は、移民政策が積極的に施され、多様な文化を受け入れています。カナダの多文化政策がアメリカのそれと区別されるところは、他文化に対する政策の差異が挙げられると思います。アメリカが他文化出身者にアメリカ文化を受け入れさせて順応させていくのに対し、カナダでは、各固有の文化はそのまま受け入れていくといった姿勢が取られてきました。カナダ人自身このことに誇りを持っているようですが、その一方で弊害が生まれていることも事実です。
すなわち、元の文化も違えば言語も異なるために、1つのカナダ国民、国家としての軸を見いだすことが難しくなってきているのです。ともすれば、ばらばらになってしまう危機もあり得るのです。英語を話すことの出来ない人々が多く存在することも事実で、カナダ人自身もそれに危機感を持っている人が少なからずいるようです。私は大学3年次、マレーシアとその行政制度をゼミの研究対象としていたのですが、カナダに来た目的もやはりカナダの行政を勉強するためでした。マレーシアとカナダ両国に共通するのが人種・文化の多様性です。そしてこれは、日本人には理解が出来にくいところでもあります。
しかし、世界各国の行き来が容易になった現代で、他文化との交流がますます増えていくことは必至であり、その中で、互いに理解し譲歩していく努力は大切で、それを少しでも学ぶために私はカナダを留学先に選んだのです。
他文化と共存していくことはどういうことなのか、私自身まだまだ勉強不足ですが、少なくとも言語はとてもインパクトのある要素だと思いました。分かり切ったことかも知れませんが、ここに来て改めて痛感したことは、言語によるコミュニケーションが出来なければ、そのコミュニティーに入ることは難しいということです。

フォーマルパーティーで

冒頭で、カナダ人は親切でとてもオープンだと書きました。確かに彼らは言葉の違う私たち留学生に良くしてくれます。しかし、本当に心を開いているのかなど、本音を知ることはとても難しく感じました。なぜなら、言語のニュアンスが生み出す真意をこちらが必ずしも理解出来ているとは限らないからです。これは英語のスキルだけの問題ではなく、文化的背景もあるように感じます。
よく言葉はツールだといわれますが、私はここに来て、言葉はその人自身を表すものでもあると強く思いました。なぜなら、今話している自分の言葉で人は私を評価するからです。
カナダに来てまだまだ知らないこと、興味深いことはたくさんあります。ゆっくりですが、1つずつ体験し、消化していきたいと思います。

草のみどり 195号掲載(2006年5月号)

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