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法学部
【活動レポート】宮本 悠 (国際企業関係法学科4年)

「やる気応援奨学金」リポート(26) アメリカ留学で自分変える(下) 春セメスターと今後に向けて

はじめに

私は昨秋から今年の6月まで、法学部の「やる気応援奨学金長期海外研修部門」の援助を受け、アメリカのメリーランド州にあるUniversity of Maryland Baltimore Countyで留学生活を送った。前回(197号)の秋セメスターまでの報告に続き、今回は春セメスターのことを報告したいと思う。

授業について

私は、政治学専攻で、中東とアメリカ外交について勉強したいと考えていたため、授業はそれらの内容のものを中心に履修した。ここでは私が最も力を入れて取り組んだDynamics of the Arab-Israeli Conflict の授業について紹介する。

この授業は、担当教授がハードで課題が多いと知られているうえに、履修者のほとんどが、Honors Class(高いレベルの学生が集まるプログラム)の学生という、レベルの高い授業だったのだ。最初、課題に出る分厚い本を七冊も買わされた時は、本気で気が遠くなりそうだった。

そして、授業初日には、アメリカの有名な新聞のそれぞれの思想が、どのような思想に偏っているかなどという話を当たり前のようにされ、「そんなこと私、知らないー!」と途方に暮れ、この授業を履修して、果たして授業にきちんと付いていくことが出来るのだろうか、と不安になった。しかし、この授業の内容が、パレスチナを巡るイスラエルとアラブ諸国との紛争という最も自分の勉強したい内容であったことから、トライしてみることにした。

授業では、パレスチナを巡るイスラエルとアラブ諸国との紛争について、ヨーロッパ諸国間のバランス・オブ・パワー、アラブ民族主義、シオニズム、イギリスのパレスチナ外交、イスラエルとアラブ諸国間で起こった戦争の原因と結果、インティファーダ勃発の原因と結果などさまざまな面から学んだ。

試験は、エッセイだった。恐らく留学生にとっては、エッセイの試験が1番困難なのではないかと思う。限られた時間の中で、なるべく英語のミスをせずに、まとまった文章を書かなければならないからだ。中央大学の筆記の試験のように白い紙が1枚あるのではなく、ブルー・ブックという青い表紙の冊子が配られ、それに答案を書く形式になっていた。

この授業の最終試験では、その冊子が2冊配られた。つまり、それだけの量を書けということなのだ。試験では、死に物狂いといっても良いくらい必死に、約20頁とにかく書きまくった。大変だったが、それを提出する時の達成感はこのうえなかった。試験が終わって帰る時、「私はこの留学生活で、ちゃんと頑張ったんだ!」と胸を張って言える気がした。この授業で「A」を取ることが出来たことは、ほかのどの授業で「A」を取ったことよりもうれしかった。

この授業で得た物は、私にとって大きかった。困難に陥っても、あきらめずに地道な努力を続ければ、目標を達成出来ることを学んだからだ。

このクラスでは、優秀な学生が多かったため、授業のレベルや内容に付いていけなかったり、きちんと予習をしていっても教授の話す英語のスピードに付いていけないため、授業を理解出来ずノートをうまく取れなかったりと、焦ることもあった。

だが、自分が出来ることを少しずつやっていくしか方法はないと開き直り、授業外で教授に質問しにいって、分からない所を明確にしたり、ポイントとなる本を集中的に読んで、膨大な量のリーディングを要領良く進めたりした。良い成績を取れたのは、その結果だと思う。

この経験を通して、物事がうまくいかない時も、向上心を忘れず、地道な努力を続ければ、自分の目標を成し遂げることが出来るのだと考えられるようになった。

模擬国連の大会

Model United Nationsは、4月にあった模擬国連の大会に備えるための授業だった。私が参加した模擬国連の大会は、ニューヨークで行われ、全米、そして海外からも学生が集まった。それぞれの大学が、国連加盟国を担当し、参加者それぞれが担当した加盟国の代表となる。また、それぞれの大学のメンバーは、幾つかの委員会に分かれ、その委員会の中で、担当した国の国益を追求し、議論を行う。

私の大学は、アンティグア・アンド・バービューダという国が割り当てられ、私自身はGroup of 77という委員会の担当となった。

授業では、メンバーそれぞれが、担当国の政策、大会での議題に対してどのような立場を取っているか、などについて調べる。

それを考慮したうえで、国益に沿った形で、大会でどの議題を選ぶか(議題は3つあり、加盟国の投票によって、話し合われる議題が決められる。そのため、自国にとって、話し合われて得となる議題を、最初の議題に出来るよう、ほかの国に働き掛けたり、ほかの国との調整を図ったりしなければならないのだ。これぞ外交!?)、何を主張するか、どこの国とグループを組むか、などを考えた。

アンティグア・アンド・バービューダは、カリブ海にある小さな島国であり、国連という場でも大きな力を持っていない。そのため、ほかの国と結束して、国益を追求する必要がある。交渉を通じて作成された、幾つかの決議案の中から、投票によって採択する決議を決めるのだ。そのため、授業では決議案を書く練習も行った。

大会のために行ったことは、勉強面に限らない。大会は、何せ物価の高いニューヨークで、泊まり掛けで行われるのだ。学生さんは金がない。ということで、メンバーで資金集めも行った。

何よりもお金が集まったのは車洗いだった。休日にセブン-イレブンの駐車場を借りて、「車洗い、やってます!」というポスターを道路で掲げて人を呼び込み、集まったメンバーで車を洗った。私は最初、「そんなので、人が集まるの?」と思っていたが、面白いほど人が来て、半日で約200~300ドル集まった。車洗いで資金集め。これもアメリカ独自の文化のようなものなのかも知れない。最終的に、無事資金が集まった。

大会初日は、開会式があった後、最初のセッションが行われた。まず、3つの議題のうち、どれを最初に話し合うかを決めた。3つの議題は、負債放棄、国連改革、途上国間の貿易だった。投票の結果、アンティグア・アンド・バービューダにとって最も大事な負債放棄が、最初の議題となった。

初日は、色々な国の代表と話して楽しむ余裕があったが、2日目からはハードだった。2日目から四日目までは、セッションの嵐で、食事をゆっくり取る暇も、夜寝る時間もあまりない状態で、1日中会議室にこもっていなければならず、正直しんどかった。また、下調べを十分していったつもりでも、ほかの人が議論している英語が理解出来ないこともよくあった。

2日目からは、決議案書きに入った。アンティグア・アンド・バービューダは、カリコム(カリブ共同体。経済統合や、外交政策の調整などを目的として設立された)に加盟しており、カリコムとの関係を重視している。そのため、カリコムのほかの加盟国と一緒に、決議案を書いた。

アフリカの国はアフリカの国同士で、アラブの国はアラブの国同士で、というように、それぞれがグループを組んで決議案を作成し、最終的に九つの決議案が出た。そのため、各グループは、自分たちの決議案を、ほかのグループの国に説明しにいって、決議として通るよう支持集めに回るのだ。4日目になって、やっと投票が行われ、ほとんどの決議案が決議として採択され、私たちの書いた決議案も無事採択された。

最終日は、閉会式が開催され、表彰式も行われた。これは大会であるため、優秀だった大学は表彰されるのだ。1位、2位、3位と、それぞれ何十校か選ばれる。私の大学は、何と3位に選ばれ、皆大喜びだった。私の大学は、毎年大会に参加しているが、表彰されるのは久しぶりのことらしく、教授たちもうれしそうだった。

模擬国連の大会を通して感じたことは、やはり国連というのは国益追求の場なのだということだ。いかに自分の国、もしくは自分が属するグループにとって、有利な決議を通すか。それが目的なのだと感じた。

ただやはり、国益追求を話し合いで解決しようとするところに、国連の意味はあるのではないかと考えた。違う国益を持った国々が、1つの場所に集まって、同じ目標を持って行動しようと、話し合うのだから。自国の国益を追求しているだけでは、決議としては採択されない。国際社会全体として、認められるような解決策を盛り込んだ決議案である必要があるのだ。大会を通じて、国連という場からの国際政治を学ぶことが出来、非常に有意義な経験となった。

インターンシップ

春セメスターは、Maryland Association of Nonprofit Organizations(MANO)というNPOで、インターンシップもした。

MANOは、全米で最も大きなNPOの1つであり、直接的な人道支援ではなく、MANOのメンバーであるNPOが、その使命に沿って活動を行っていくのを支援するNPOだ。公共の場において、NPOの活動を認識してもらい、影響力を拡大していくことをサポートしている。同時に、NPOの管理・経営という部分で、NPOが倫理基準をクリアしているのか、説明責任を果たしているのか、をチェックすることも行っている。

私がかかわったのは、MANOが定めた基準を満たすメリーランド州のNPOに対して、「そのNPOは、信頼出来るNPOなのだ」という証明書を与えるthe Standards for Excellenceというプログラムだった。

これは、NPOの管理・経営を向上させる目的で行われている。そのNPOの使命、プログラムの内容、財務的・法的なもの、社会に対してどれだけ開かれているか、などの基準と照らし合わせて、そのNPOが信頼出来る組織なのかを判断する。このプログラムを通して、MANOは、NPOの活動に対して一般の人から信頼を得られるよう努めているのだ。

このインターンシップを通して、NPOの活動が活発化しているということを、肌で感じることが出来た。また、NPOにおいても、一般企業と同様にマネージメントの能力が必要不可欠で、社会から信頼を得なければ活動を続けることや、支持を受けることは出来ないのだと分かった。

終わりに

帰国した当初、留学した意味がどの程度あったのか、自分でよく分からなかった。

授業でうまくやれるようになったし、寮で友達が増えて楽しかったし、模擬国連の大会やインターンシップもとても勉強になった。冬休みのメキシコ旅行と春休みのペルー旅行も自分の生き方について考えさせられる貴重な、そして楽しい経験だった。自分が出来ることは、全部やったと思う。

でも「ポジティブになる」という自分の目標は果たせたのか。その問いに「イエス」と答えることは出来ない。根本的なところは、変わっていないように思う。

しかし、帰国後に就職活動を始めて、留学した意味や得た物が、少し分かってきた。それは、地道な努力が結果につながるということ、あきらめてはいけないということ。視点を変えることにより、多面的な物の見方をするということの大切さ。そして、「最初の半年間のつらい留学生活に比べたら、帰国してからの就職活動やそのほかの色々なことは何でもないことだ」と思って頑張れるようになったこと。

相変わらず自分に自信はないが、留学生活は無駄ではなかったのかも知れないと、今では思える。自分を変えることは、簡単なことではない。だがこれからも、変わろうとする努力を続けることをやめてはいけないのだと思う。留学生活を通して学んだことを、忘れずにいたい。

最後に、自分を変えようと思うきっかけをくださり、短期留学の時からお世話になっている三枝先生、留学先の大学を選ぶ時にアドバイスをしてくださったニックス先生とヘッセ先生、アメリカに仕事でいらっしゃった時に、私に会いにきてくださった滝田先生、そして、サポートしてくださったリソースセンター、国際交流センター、法学部事務室の方々、この留学を資金面から援助してくださった方々、本当にありがとうございます。

「やる気応援奨学金」に携わっているすべての方々に、感謝します。

草のみどり 200号掲載(2006年11月号)

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