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法学部
【活動レポート】工藤 麻里子 (国際企業関係法学科3年)

「やる気応援奨学金」リポート(35) アメリカで実践的英語力習得 法律社会の実情把握も目的に

はじめに

今回私は「やる気応援奨学金」英語部門の受領生として、2月の上旬から3月の上旬までアメリカのサンディエゴに行かせていただきました。この留学での主な目的は、将来ビジネス社会で使えるような実践的英語力の習得と、アメリカの法律社会の実情を見てくるというものでした。どちらも日本にいてはなかなか出来ないことであり、自分に対してチャレンジを課すという意味でも今回の留学の意義は大きいものでした。以下、私の体験談とその体験から得たもの、そしてそれを今後どう生かしていくかを簡単ではありますが述べさせていただきます。

異色の語学学校

私が今回の留学で選んだ語学学校のArrow International Career Collegeは、ビジネス英語コースをメーンに提供している、本当に小さな個人経営の学校でした。学長のDanielle Rowleyさんは学士課程で教職免許を取得した後、MBAを取得し、ビジネスコンサルタントとしてしばらく働いた後自分のノウハウを生かしビジネススクールを立ち上げ教鞭を執るようになった、という経歴の持ち主でした。Arrow CollegeにおいてのDanielleの教育方針は、実際のビジネス社会で通用するスキルを英語で提供するというもので、そのスキルの中には、プレゼンテーション能力や電話の応対方法、ワード、エクセル、パワーポイントの使い方、交渉術などが含まれていました。

初日に到着して初めて分かったことだったのですが、私が選んだInternational Office English Courseの生徒が何と私ただ1人! 夏休みに比べ、2月は他国からの留学生の絶対数が少ないということでした。クラスメートがいるのを期待していた私は初め落胆しましたが、毎日先生とマンツーマンのプライベートレッスンが受けられる、とポジティブに考えることにしました。

まずは、私の英語能力を測るプレイスメントテストを受け、その後に私がこの1カ月の間に何を学びたいか、そして将来的には何をしたいのか、といったキャリアプランを作成するために、色々なことを聞かれました。このように私に合った適切なプランをフレキシブルに作ってもらえるといった点で、マンツーマンで良かったと思います。

私はボキャブラリーの強化の必要性を強く感じたので、Danielleにお願いし、毎日新聞記事を1つ選んで必須の単語のところを空欄にしてもらい、初日にやったのと同じく書き取りによって単語を覚えていく、という授業プランを組み込んでもらいました。耳で聞いて書き取ることにより、より単語の定着が期待出来ましたし、単語を単体で暗記していくよりも、実際の新聞記事の文章の中で学ぶことでその単語の実用的な使い方もより明確に分かるので、この方法は良策であったと思います。加えて、毎日最新の新聞記事を用いて学習したことによってアメリカのビジネス社会で今どのようなことが起こっているか、といったような時事ねたにも触れることが出来たので、とても興味深かったです。そして毎週頭にその前の週に覚えた単語の定着をチェックするためのテストをやってもらったのですが、そのテスト方法が、単語を使って実際に自分で文章を作成する、というものだったので、とてもためになったと思います。そして、授業の中でも特に印象深かったのは、架空のCompetitor Report(競合他社の製品との比較リポート)とそれを踏まえた新しい自社製品の提案書をパワーポイントで作成し、これを基に重役会議でのプレゼンテーションを行う、といったロールプレイングでした。私は今までパワーポイントを使ったことがなく、初めは戸惑いましたが、Danielleが基礎から懇切丁寧に教えてくれたので、何とか最後の方では慣れることが出来ました。そして重役相手という設定(実際の相手はDanielleだけでしたが)でのプレゼンテーションでは、プロジェクターを使ってアイコンタクトや、プレゼンで使えるフレーズなどを駆使出来るように練習。すべて架空の設定でのプロジェクトではありましたが、楽しみながらPCスキルやスピーキングスキルを磨くことが出来たと思います。

Arrow Collegeは普通の語学学校とは違い、ビジネススキルの向上に重点を置いた、いわば異色ともいえる学校でしたが、日本ではなかなか学べないようなことを多く吸収出来ただけでなく、マンツーマンのレッスンということできめ細かい指導の下、スピーキングの練習も満足行くまで出来たので、この学校を選択したことはとても自分のプラスになったと思います。

法律事務所訪問

今回の留学のもう1つの大きな目的としては、アメリカでの法律事情や弁護士の働きを自分の目で見てくる、というものがありました。カリフォルニアを留学先として選んだのも、アメリカでのロースクール卒業後に州ごとに受けるBar Examという試験が難しいといわれている州の1つであるからです。今回の留学では、Danielleの知り合いでQualcomm社の法務部で働いているUnhuiさんと、弁護士事務所を経営するRobertさんのお二方とアポイントメントを取って、色々インタビューをさせていただけることになりました。

まず、Unhuiさんの勤務されているQualcomm社はCDMAや3Gといった携帯電話の機能の特許を持っている会社なのですが、その特許の範囲が広くてあいまいであるがゆえに、特許料を請求しているさまざまな会社からの訴訟が絶えない、というお話を聞くことが出来ました。アメリカの企業の法務部の多くはlitigation(主に訴訟を担当)とtransaction(主に契約の書類作成を担当)の2つに大別されているそうで、Unhuiさんはtransactionの分野を担当し、自社の特許技術と一部使用しているにもかかわらず特許料の支払いをしていないような会社を探し出し、料金の請求などを行う書類を作成しているとのことでした。そのような請求を受ける会社とのいざこざが結局訴訟につながっていくのだ、と彼女は説明してくれ、やはり知的財産の問題は大きく、同時にアメリカは訴訟社会なのだな、というのが話を聞いた私の感想でした。

Unhuiさんは現在の自身の仕事の話のほかにも、アメリカで弁護士になるには、どういったプロセスを踏めば良いのか、という話や、現在アメリカで働く女性弁護士の実情などについてもお話をしてくださいました。やはり家庭を持つ女性弁護士は仕事と家事のバランスを取るのが難しいらしいです。しかし、アメリカでは日本に比べて自立して仕事に励む女性が多く、週に80時間も働く女性弁護士もざらにいるそうで、この数字はいかにアメリカの弁護士の仕事がハードか、ということを物語っているものだと思いました。

一方、RobertさんはImmigration LawとFamily Lawを専門とする弁護士で、主にアメリカへの移民のビザにまつわる案件を担当している、ということでした。アメリカでの弁護士事情について伺ったところ、やはりアメリカでは弁護士の絶対数が多い分、競争が熾烈であり、そのためどの分野も満遍なくやるよりは、得意分野を1つか2つに絞って仕事をやる方が効率が良いとのこと。

ほかにアメリカと日本の弁護士の違いについて聞いてみたところ、アメリカの弁護士はクライアントと一緒になってフレキシブルに対話をしながら問題の解決方法を見いだそうとするのに対して、日本の弁護士はある程度形式的に法律を用いて問題を処理する、というのがRobertさんの見解でした。確かに日本ではアメリカに比べて弁護士の数も少なく競争率が低いので、サービス精神を弁護士業務に盛り込むという意識は薄いのかな、と思いました。

企業見学

日本に帰国する前日、サンフランシスコに立ち寄り、父の知り合いの方が社長をしているTPS Aviationという飛行機部品会社を訪問し、会社内と業務内容を見学させていただきました。

TPS Aviationは1961年に設立され、100人ほどの従業員を抱える会社です。飛行機部品の輸出入の仲介などが主な仕事で、現在世界で750を超える顧客がいるそうで、その中には日本の防衛省、三菱重工、NEC、東芝なども含まれています。

この会社は、“Liberty Net”という独自の製品管理技術を採用しています。このLiberty Netは会社が扱う製品や部品のドキュメントをすべてコンピューター管理するというもので、従来は紙に起こしていた部品の設計図などもそれらをすべてスキャンしてコンピューターに取り込むことにより、必要な情報をより早く探し出すことが出来、効率的に管理しやすくなったのだそうです。この技術を採り入れ始めたのは最近のことであると聞きました。オフィスを案内してもらった後に倉庫の見学もさせていただいたのですが、部品の在庫管理などもすべてコンピューターを使って行っている現場を目の当たりにして、やはり昨今のビジネスの現場では、迅速性と効率性を求めるためにITテクノロジーを駆使して事業を行う所が増えているのだなぁ、というのが私の印象でした。

日本に帰国する前に、1つのアメリカの会社の在り方の形を自分の目で見てくることが出来て良かったと思います。貴重な体験でした。

サンディエゴで出会った人たち

私は今回、滞在方法としてホームステイではなく短期滞在者用のアパートを選択しました。その理由として、1カ月間自分で自立して生活をしてみようということと、より時間を自由に使いたいと思ったことが挙げられると思います。実家暮らしの私にとってはチャレンジではありましたが、より自分を成長させたいという願望からの決断でした。

私が滞在したOld Town Placeというアパートは、4人でシェアするものと2人でシェアするものと2種類あり、私は後者でした。そして私のルームメートはShamimというイラン人男性でした。あちらでは、男女がルームシェアをすることはさほど珍しいことではないらしいです。(もちろんそれぞれ個室があり、キッチン、リビング、バストイレのみ共有です。)Shamimとは、夜遅くまで取り留めのない会話を楽しんだり、一緒に夕食に出掛けたり、美術館を巡ったりと、良い友好関係を築くことが出来たと思います。彼がルームメートで本当に良かったです。

そして、語学学校でクラスメートがいなかった私は、もっとサンディエゴで色々な人と交流したかったので、Danielleの紹介でmeet upという趣味を共有する人たちが定期的に集まり交流を深めていくサークルのようなものに参加しました。私が入ったのはEnglish as Second Languageというグループで、アメリカ以外からの留学生や、そのような留学生と交流したいネイティブの人たちが多く参加していました。私はこのグループ内の人たちと週末にハイキングに行ったり、ロッククライミングに挑戦したりと、私にしてはアクティブに色々な人と交流出来たと思います。経歴も職種も違うさまざまな人と話が出来たので、とても興味深かったし楽しかったです。

この留学で得たもの

私がこの留学で得たものは本当に多かったと思います。

まず第1には英語力です。先生とのマンツーマンであったがゆえに、私の理解度に合わせて授業を進めてもらうことが可能であったし、また、分からないところは気兼ねせずにとことん分かるまで質問することが出来ました。そして、Danielleとの授業時間外での雑談が、実は日常会話のスピーキングスキルを向上させるのに大きく役立った気がします。プライベートレッスンにより非常に密度の濃い教育を受けられましたし、前述のようなArrow Collegeならではのユニークかつ実用的なビジネス英語修得プログラムを学ぶ課程で実際にビジネス現場で英語を使う自分の姿をある程度思い描くことが出来たので、今回の語学学校の選択は正解であったと満足しています。

そして、弁護士の方々へのインタビューでも、得るものは非常にありました。恐らく弁護士の方々に時間を取っていただき1対1でインタビューを行いお話を伺うという機会はなかなかないでしょうし、アメリカでの大きなビジネスの1つの法曹業界の実情をリアルな声として聞くことが出来、とても勉強になりました。日本とアメリカの弁護士の在り方の違いや、アメリカで仕事を持つ女性の現状などを知ることが出来たのも大きな収穫であったと思います。

生活面においては、短期間でしたが滞在方法にアパートメントを選んだことにより、日本での実家暮らしでは気付くことのなかった1人で生活することの大変さ、そして自由とは責任が伴うものなのだ、ということに改めて気付きました。そういった意味でも、今回ホームステイでなくアパートを選んだことから学ぶことは多かったと思います。

以上のような語学学校と弁護士訪問から得られるものについては出発前からある程度想定と期待はしていましたが、実際にサンディエゴで出会い、交流した人たちから得られたものは想定範囲をはるかに超えるものでしたし、純粋に勉強になっただけでなく彼らと出会えたことに喜びを感じました。そして例えばアパートのルームメートであったShamimと自分たちの国の文化について意見を交換したりすることにより、日本ではなかなかすることの出来ない異文化体験を通じて自分の視野を広げられたことや、そういった会話の積み重ねによって日常のスピーキングスキルを伸ばすことが出来たのも、今回の留学の大きな成果の1つだと思います。

今後に向けて

今回「やる気応援奨学金」を頂いての留学ということで、頂いたからには自分の出来る最大限の勉強をして貪欲に色々なものを吸収してこよう、という気持ちになり、結果的にモチベーションの向上につなげることが出来たと思います。私はまだ自分の将来の進路があまり明確ではなくただ1点英語を用いて仕事をしたい、という希望しかないのですが、今回伸ばすことが出来た英語力を始めさまざまなスキルはどのような仕事をするにしろ私のそのような希望をかなえるのに役立つでしょう。授業でネゴシエーションなどの体験をすることにより、自分の弱いポイントなどもある程度把握することが出来たので、この経験を基により磨く必要のあるスキルの向上に努めていきたいと思います。そして、色々な人たちとの交流によって視野が広がり、将来の自分の在り方の可能性について再考することが出来たので、今後も今回の活動を生かし自分の進む道を模索していきたいです。

最後になりましたが、奨学金申請の際にアドバイスをくださり、このような素晴らしい機会を与えてくださった法学部の先生方に深く感謝いたします。本当にありがとうございました。

草のみどり 209号掲載(2007年9月号)

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